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ESGとは?SDGsとの違いは何?|ESG Talk #1

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近年よく耳にするESGとは?Onlab ESGではPodcastを活用し、世界のESGスタートアップや最新事例をわかりやすくお話します。日本ではまだ、馴染みがないため、ESGの具体的な取り組みに対応することに頭を抱えている企業は多いのではないのでしょうか。そこで本番組ではESGを身近に感じてもらい、より知ってもらうために、IT企業に勤めるメンバーがさまざまな視点でESGを紐解いていきます。
今回は『ESGとは?』をテーマにESGの定義と背景、ESGとSDGsの違い、そしてESGが盛り上がったきっかけをOnlab推進部長の松田さんにお伺いしました。今回お話を伺った松田さんは元々、三菱総合研究所いわゆるシンクタンクに在籍し、2015年頃にSDGsを日本に導入する際、国連開発計画との話し合いを重ねてきた経歴の持ち主です。そこから三菱総研として社会課題をビジネスで解決するスタートアップを支援するプログラムを作るなど、社会課題をビジネスで解決する取り組みを支援してきました。
現在はデジタルガレージで10年以上続いてるシードアクセラレータープログラムを運営しながら、ESGをテーマにしたOnlab ESGという新しいプログラムの立ち上げや、ESGスタートアップに投資をするEarthshotファンドの運営を行っています。

ESGとは?ESGの定義と背景

ESGという言葉は本や雑誌、テレビなどで取り上げられていますが、一般的なイメージだと「環境に良いことをしよう」と思い浮かぶかと思います。ESGは広い概念で「Enviroment(環境)」と「Social(社会)」と「Governance(企業統治)」この三つの英語の頭文字を取ったものがESGです。
「Enviroment(環境)」は、そ「気候変動」が最近非常に大きな社会問題になっていますが、それをどのように止めるかの取り組みであり、「Social(社会)」は、たとえば地域貢献や、労働環境を改善しようする取り組みなどがあげられます。最後の「Governance(企業統治)」は企業が守るべきルールをしっかりと整え、経営の透明性を高くしていくことです。
ESGは、投資と密接に関わっています。株主が企業に出資をする際に、従来の財務情報だけでなく、この3つの要素をしっかり取り組んでいる企業かどうか、判断する基準としてESGという活動内容が注目され、ESG投資などという言葉が使われています。
環境面については、近年気候変動で異常気象が多く発生し、たとえば、大雨が降り、土砂崩れが起きると高速道路であれば、土砂崩れのため通行止めになったり、電車などの交通インフラが動かなくなり、結果物流が止まり、企業のビジネスが止まり、売り上げに大きな影響が出てしまうのです。このようなことは世界規模で起きており、その年に起こった異常気象だけでなく、気候の変化は年々規模にも大きく影響してきています。私たちが気候変動の原因を理解しきちんと対応することが、世の中を良くすることでもあり、ひいては企業の経営を良くすることである、という考え方がESGです。

出典:野村アセットマネジメント

ESGとSDGsの違い

昨今では、さまざまな英語の頭文字をとった略語がありますが、SDGsは日本語でいうと「持続可能な開発目標」です。Gはゴール、言い換えると人類が持続可能な形で発展するために2030年までに達成する目標を定めてるものです。2030年の人類のあるべき姿を指しています。たとえば貧困をなくすことも含まれますが、先ほど説明したとおりESGは企業の取り組みです。また、企業の経営でリスクをどう考えるのか、またはどう対応するのかがESGであり、それによって地球に住むの人類がどういうゴールを目指していくのかがSDGs。そもそもの考え方や規模が違うのがポイントですね。
しかし、目指すべき方向は近いので、ESGの取り組みを行うと、当然SDGsとの親和性もあるため、重なってるところは非常に多いかと思われます。SDGsをゴールだとしたらESGはプロセスや、そのための手段のようなイメージです。ESGは企業がやるべき手段といってもいいのかもしれません。

ESGが盛り上がったきっかけ

ESGはさきほども言ったとおり投資の観点で生まれた言葉です。日本の企業に限らず世界中の大企業は株式市場でお金を集めたりしています。そこで大きな力を持っているのが機関投資家です。機関投資家がESG投資をすると宣言をしているのでESGに対応してるところにはお金を出すことができますが、対応してないところにはお金を出すことがしづらい状況になっている現状があります。そのため、多くの大企業、特に上場企業は機関投資家からESGを考慮した取り組みをしているのか、ちゃんと考えているのか、という質問を日ごろから受けている状態です。そのため大企業の経営層の皆さんはESGをしっかり行うことが経営課題と理解されています。
しかし、グローバルでいうと実は最近の話ではなく、2006年に国連より提唱されたPRIという行動原則から、長期的な視点を持った投資行動を取るよう整理されました。PRIとは日本語で責任投資原則と訳されます。ESGの取り組みをしている会社に投資をすることが投資パフォーマンスを下げず、それを考慮しない投資とパフォーマンスは表裏一体ということです。
それをもってESGに関連する投資をして行う宣言がこのPRI、というイメージです。2006年にPRIが提唱され、特にヨーロッパや北米では機関投資家がこのPRIを積極的に行いました。日本では2015年ごろ日本の年金機構がそのPRIに署名して、ESGに注視する流れができ、それをきっかけに日本の経営層や投資家がESGに関心が高まりました。 2018年でESG関連投資が3000兆円に増えてると言われ、2025年には5800兆円まで増額すると予想されており、桁違いの金額であることがわかります。

出典:経済産業省

今回のエピソードでは「『ESG』とは?『SDGs』との違い」をテーマにESGの定義と背景、ESGとSDGsの違い、そしてESGが盛り上がったきっかけをまとめました。次回はESG投資の定義と、ESGとして認められるスタートアップ/事業とは一体どのようなものなのかを伺います。

(執筆:Rian 編集:Onlab事務局)

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