2023年08月10日
Open Network Lab(以下、Onlab)は、2010年4月より「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に「Open Network Lab Seed Accelerator」をスタートし、これまでに数々のスタートアップをサポートしてきました。その1社であり、化粧品ブランド立ち上げ支援事業「D2C STATION」が好調なモノック株式会社(以下、モノック) 。D2C事業を加速させるためにデジタルガレージのマーケティング事業部門とどのような取り組みをしているのか、モノック 株式会社 代表取締役CEOの小澤さんとデジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーの古澤さんにお話を伺いました。
< プロフィール >
モノック株式会社 代表取締役CEO 小澤 一郎
2011年大学2年生のときにiPhoneアプリをエンジニアと開発し、2000万ダウンロードを達成したiPhoneの写真アプリ「papelook」の成功から会社を起業。その後もコスメメディア「FAVOR(フェーバー)」や自社ブランド「FAVES BEAUTY(フェイブス・ビューティー)」を展開してきた。10周年を期にモノ作りを由来とするモノック株式会社へ社名変更。現在はクライアント企業のコスメブランドの立ち上げを全面的に支援する事業「D2C STATION」を開始。価値あるブランドを世の中に届けるため、商品企画から製造・物流・販売・プロモーションなどの化粧品ブランドに必要なトータル支援をしている。
株式会社デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー コマース本部 ダイレクトマーケティング部 古澤 譲二
2017年にデジタルガレージに入社。動画広告の制作とディレクションを担当したのち、コマース業界向けのメディアプランニングを担当しながら新規プロジェクトの立ち上げに参画。化粧品・健康食品・ブライダルなどの女性に特化した業界に向き合う。
2020年よりD2Cブランド開発を担当し、コスメブランドのマーケティング支援を開始。2022年より、モノックと連携し事業立ち上げ支援に特化したD2Cコンサルティングサービスを開始。事業計画の立案から商品開発、マーケティング、販売に至るまでサポートし、1からブランドの立ち上げを支援している。
モノック株式会社 代表取締役CEOの小澤さんに、現在の化粧品ブランド立ち上げ支援事業「D2C STATION」へ至るまでの経緯を伺った記事はこちら
Contents
― モノックの事業概要とデジタルガレージでの担当業務についてそれぞれ教えてください。
小澤(モノック):モノックは、化粧品のプロデュースを行っている会社です。主にクライアントの「化粧品事業に参入したい」という依頼を受けて、ブランドの立ち上げを全面的に支援する「D2C STATION」を通じた化粧品ブランドの企画や製造、販売、マーケティングまで一貫したサポートの提供を強みにしています。
古澤(デジタルガレージ):私は2017年に新卒でデジタルガレージに入社しました。デジタルガレージの中でも、私はマーケティング事業部門に所属しています。最初はクリエイティブの部署で協力会社と一緒に、動画広告の撮影や編集を行っていました。その後、部署異動に伴い、広告のプランニングを担当してきました。具体的には、広告枠の仕入れや買い付けといったメディアバイイングやコミュニケーション設計、制作のディレクションを行っていました。得意領域は、WebマーケティングとFacebookやInstagram、X(Twitter)、LINEなどのソーシャルメディアを中心としたデジタル広告の運用です。
― 先日、モノックは「D2C STATION」のサービスの強化を発表されました。
小澤(モノック):「D2C STATION」の売上を伸ばすためには、顧客単価を上げる必要があります。顧客数に関しては、実績を積み重ねてここまで実現できていましたが、単価アップは難易度が高いと感じています。そのような中、Open Network Lab 時代からご支援いただいているデジタルガレージのマーケティング事業部門の協力のもと「D2C STATION」のマーケティング戦略から決済システムの構築や広告運用まで商品を売り切るところまでのサービス強化に取り組んでいます。
我々のようなスタートアップの場合、いわゆる大企業の後ろ盾があれば、お客様からのご予算も一気に上がるので、我々としても重要なタイミングでご一緒させていただけたかと思っています。
古澤(デジタルガレージ):モノックは、インフルエンサーコスメやリアルでの店舗販売に関する強みを持っていたのですが、クライアントのEC経由での販売やその先の広告運用の部分には積み残しがあり、デジタルガレージの持っているマーケティングのノウハウで「D2C STATION」をもっと顧客を拡大していけるのではないか、と思いました。案件ごとに異なる部分もありますが、基本的に我々が、事業計画や戦略、施策の立案支援からマーケティングや決済機能までを含む通販部分を担当し、製造や店頭配荷はモノックが担当するというビジネスモデルです。
― お互いの強みを持ち寄ったコラボレーションということですね。
小澤(モノック):ここに至るまでは時間もかかったのですが、特に通販部分を強化したいと思っていたので、ありがたいお話でした。その他にも、以前は我々の得意とするYouTuberブランドでの商品開発のご依頼が多かったのですが、デジタルガレージの新しいチャネルからの引き合いもあって、最近では、スキンケア化粧品など幅広いクライアントからお声がけをいただくこともあり、確実に営業範囲が拡大したと感じています。
― そもそもはどんなきっかけで、マーケティング事業部門との取り組みが始まったのでしょうか?
古澤(デジタルガレージ):もともとはデジタルガレージのマーケティング事業部門で新規プロジェクトとして行った”ブランドづくり”が始まりでした。モノックを発売元として作り上げたブランドのマーケティング支援を通じて、さらにサポートできることがあるのではないかと。
小澤(モノック):これまで、2つのプロダクト開発をご一緒しています。インフルエンサーコスメの「ease style」と着圧ストッキング「ModelWalker」です。
古澤(デジタルガレージ):特に後者のプロダクト「ModelWalker」は、小澤さんからもお話のあった通販部分の強化ということで、デジタルガレージの強みであり国内トップクラスの実績を持つアフィリエイト施策とも相性がよく、知見も活かせるのではないかと思い、マーケティング支援を行っています。
小澤(モノック):このプロダクトを機に、お互いにクライアントを紹介するようになり、その積み重ねが今回の「D2C STATION」のサービス強化に繋がったと思っています。
― 今後はどのような展開を考えているのでしょうか。
小澤(モノック):我々はYouTuberブランドの先駆けとして、それを主力にサービスを展開してきました。しかしYouTuberのチャンネル登録者数が多ければ商品がヒットする訳ではなく、さまざまな不確実性を含んでいます。「着実に売れるブランドを作って欲しい」というクライアントの声もあったので、「D2C STATION」を通じてデジタルガレージのマーケティングノウハウを用いた商品開発を進めていきたいと思っています。
古澤(デジタルガレージ):モノックはDGグループの投資先だからという訳でなく、パートナーとして、スピード感や柔軟性のある企業です。デジタルガレージがモノックと組んでマーケティング支援を行うのは、投資先であるモノックへの支援という以外に、我々にも新規顧客開拓のメリットがあると思っています。
昨今は代理店の競争が非常に激しくなってきており、市場に後発で参入することが難しい状況です。私たちマーケティング事業部門の収益は広告運用が中心ではありますが、事業の立ち上げからクライアントを支援する場合、広告運用のノウハウを商品企画やマーケティング戦略に活かすことができるので、広告を配信する際にも効果的なプランニングをすることができます。
また、DGグループの保有する決済ソリューションと接続することで、決済手数料や加盟店審査の調整などを含め、決済サービスの実装をサポートすることができます。1から商品を作りたいクライアントに対して、我々が企画・戦略設計からマーケティング、そして決済に至るまで支援できると、双方にとって良い効果が得られるのではないかと思います。
― サービスの立ち上げから関わることで優位性が出しやすいですね。
小澤(モノック):そうですね。今後はブランドの数を拡大していきたいです。商品が増えれば活用できるデータがより増えますし、モノックの強みである店舗展開に繋げることができます。今まではメイクアップブランドの実績がほとんどでしたが、今後はスキンケアブランドのラインナップが増えていくはずです。
古澤(デジタルガレージ):今回のモノックとの取り組みのように、自分たちの持っているノウハウと、スタートアップが持っているソリューションとの連携は今後も推進していきたいと思っています。
クライアントの多様な課題に対して提案できるソリューションの幅を広げることは重要ですし、DGグループの投資先であればテストマーケティングの実施ハードルが下がるためクライアントに提案しやすいです。そういった意味で、デジタルガレージと投資先双方のメリットもあると感じています。
― お二人とも、ありがとうございました。
(撮影:小島三幸 執筆・編集:山本真紀子・Onlab事務局)