2019年09月13日
食産業では地球規模の課題解決から製造ラインの効率化まで、さまざまな革新的な技術が生まれ、イノベーションが起き始めています。
食産業を代表する3社に、彼らが注目する領域や技術、さらにスタートアップとの協業の可能性を語っていただきました。
※本ブログは9/5に開催したOnlab Bio説明会の座談会での様子を踏まえ記事化したものです。
■登壇者
株式会社ニチレイ 技術戦略企画部 小泉 雄史さん
三菱商事株式会社 食品化学本部 生化学製品部 事業戦略チーム 佃 啓吾さん
明治ホールディングス株式会社 価値共創センター 田村 明さん
株式会社デジタルガレージ DG Lab 橋本 遥
橋本:
まず、現在どのようなシーズや事業に注目されているか教えてください。
田村:
明治は食品と医薬品の2つの事業を行っており、食品の分野では、健康増進や疾病予防の素材となるものや、評価技術に注目しています。また、食品の製造技術に関することにも興味があります。
佃:
三菱商事の食品産業グループとしては、タンパクや代替肉、SDGsテーマ関連の技術に注目しています。畜産や水産を事業として持っているので、これらがどう変わっていくかにも関心をもっています。
小泉:
ニチレイは、冷凍食品、冷凍物流、畜産水産商社、診断薬の4つの事業を行っています。自社だけでなく外部の会社と連携して、食を通じて健康や未病につながるサービスを育てていきたいです。また、バイオテク分野では食糧問題などの環境変化に対処できる技術に興味があります。
橋本:
お話に出た代替肉、培養肉は注目が集まっていますが、培養肉はどれくらいの期間で市場にでると思いますか。
佃:
2030年か2040年には15%が培養肉になるという予想があります。技術的には細胞の不死化、培地組成、成長因子の探索などの研究を行う必要があり、培養するバイオリアクターはもしかしたら現在のものとは全く違った形になっているかもしれません。個人的には、人類にとって挑戦する価値がある事業だと思います。
小泉:
ステーキ肉のような形になるのは時間がかかると思いますが、そうではない形であればもう少し短期に市場にでるかもしれません。技術開発をドライブする社会的な環境、意義が必要で、例えば宇宙開発の一環で進むかもしれませんね。
田村:
培養乳に関して雑談レベルで話したことがあります。食糧問題の解決策として、また、動物愛護の観点から歓迎する人もいれば、遺伝子組み換えに反対する人がいるように科学的な手法をよく思わない人もいるかもしれませんね。技術は面白いので、取り組むべきだと思いますが。
橋本:
培養肉という未来の話題でしたが、このOnlab Bioプログラムでスタートアップと将来協業するために自社の売り込みをするとしたら、どういう点を訴求しますか。また、協業の種類はどういった形の可能性がありますか。
田村:
健康機能を評価できるものや食品・医薬品の素材となるもの、さらに食品製造に関しては新しいアイディアを一緒に考えていきたいです。協業の形態はケースバイケースで、明治が持っている技術や素材を使って一緒に事業を進捗させていく形も歓迎しています。
佃:
製造から物流まで幅広くサポートでき、スタートアップと弊社のニーズが合えば海外展開まで支援できます。グローバルな課題を解決する事業案に期待しています。ビジョンが合えば出資の可能性もあるので、積極的に相談してほしいです。
小泉:
短期的な協業の方法は2タイプあり、ニチレイの事業会社のアセットを使ってやる事業と、全く関係ない新規の事業を行うもの。前者は会社の事業計画とのバランスを見て進める必要があり収益性が問われてきます。後者は新しい事業計画として中長期でPoCや共同研究を行うなどフレキシブルにできます。今すぐ実現しないことでも、将来的に目指すビジネスモデルが描けていれば協業に向けて前に進めると思っています。
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食産業の会社は、数年先に協業できる事業から培養肉など未来の協業テーマまで幅広くスタートアップを探しています。事業案やアイディアがある方はぜひ応募してくださいね。
私たちOnlab Bio事務局はパートナー企業と一丸となって、シード期スタートアップにどんなサポートを提供できるか、を示していくことで、起業しやすい・起業が成功しやすい環境を作っていきたいと考えています。
スタートアップの皆さん、起業予定の皆さん、ご応募お待ちしております!
\\第2期 プログラム 参加者募集中//
最終締切 9/30。ご応募はこちらから
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座談会の様子はこちらの動画でもご覧いただけます。
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