2026年09月02日

Seed Accelerator Program(シードアクセラレータープログラム)を運営するOpen Network Lab(以下「Onlab」、読み「オンラボ」)は、2026年8月26日、第31期のDemo Dayを開催しました。会場には、投資家や事業会社など約150名が来場。国内外316社の応募から選考を経て採択された第31期の3社に加え、Onlab卒業生、OpenAIと共催した「Series T」の優勝チーム、台湾のアクセラレーター「AppWorks」、韓国の「KAIST(韓国科学技術院)」の支援先スタートアップを含む、全10社が登壇しました。
本記事では、最優秀賞とオーディエンス賞をダブル受賞したColega AIをはじめ、第31期採択スタートアップのピッチを中心に、Alumni Pitchやエコシステムパートナーによるゲストピッチを含む当日の様子をご紹介します。
| イベント名 | Onlab Seed Accelerator Program 第31期 Demo Day |
|---|---|
| 開催日 | 2026年8月26日(水) |
| 会場 | Dragon Gate(渋谷パルコDGビル18階) |
| 登壇 | 第31期生/Onlab卒業生/ゲスト(計10社) |
| 最優秀賞 オーディエンス賞 | Colega AI Inc(Colega AI) |
最優秀賞(Best Team Award)と、来場者投票によるオーディエンス賞(Audience Award)をダブル受賞したのは、中小企業のSNS運用や集客マーケティングを担うAI社員「Colega AI」を開発するColega AI Incです。

Colega AIは、SNSコンテンツの企画・デザイン・文章作成から投稿までを毎日自律して実行。さらにGoogleマップのクチコミへの返信やWebサイトの問い合わせ対応まで、集客に関わる一連の業務を一人でこなします。
最大の特徴は、社員のように仕事を任せられる「AI社員」であることです。ユーザーが都度プロンプトを入力したり、細かな指示を出したりしなくても、自律的に仕事をします。オーナーは届いた内容を確認し、承認するだけ。さらに、成果の高いパターンを学習し、次の業務に反映していきます。


背景にあるのは、中小企業の深刻な人手不足です。多くの経営者は本業のかたわら、集客や顧客対応、経理までを一人で抱えているのが実情です。
Colega AIの原点は、創業者が家業の現場で人手不足を当事者として経験したことでした。必要なのは新しいツールではなく、新しい人手。その気づきから、サービス開発が始まりました。
サービスローンチから6カ月で、アプリダウンロードは10,000回以上、有料課金顧客は1,000件を突破。導入企業では、オンライン集客業務の時間を80%削減し、サービス業では月間予約数が25%以上増加しています。

今後は集客業務だけでなく、経理やオペレーションなどへAI社員の「職種」を広げ、日本の中小企業を支える「AI従業員(AI Workforce)」を目指します。
| 会社名 | Colega AI Inc(コレガエーアイ) |
|---|---|
| サービス名 | Colega AI |
| 代表者 | Eric Fung |
| ホームページ | https://www.colega.ai/ja/ |
株式会社RAYVENの「Tumiki AI」が向き合うのは、「AIは仕事ができるが、まだまだ信用されていない」という企業のAI導入における課題です。個人情報や機密データの漏えい、従業員ごとのアクセス権限、AIの行動を後から確認するためのログなど、本格導入には管理上の壁があります。
Tumiki AIは、ChatGPTやClaudeのような生成AIツールから社内のデータやシステムに接続して働くAIエージェントまで、企業内で利用されるあらゆるAIを一元管理し、情報漏えいなどのリスクを防ぐ管理基盤です。
主な機能は3つ。機密情報をAIに届く前に遮断する、役職・職種に応じてAIやデータへのアクセスを制御する、AIの行動をすべて記録する。AIの利用を止めることなく、個人情報保護法やNDAなど、厳格なセキュリティ要件が求められる現場でのAI活用も後押しします。

コンセプトは、AIエージェントに「社員証」を与えること。人間の社員と同じように、AIにも権限と行動履歴を持たせるという考え方です。複数のAIを横断して管理するコア技術(MCP関連管理基盤技術)は、特許を取得済みです。


今後はフィジカルAIや製造ロボットなど、物理領域のセキュリティ管理への展開も目指します。「日本から、AIと共に働くことをすべての企業の日常にしていきます」
| 会社名 | 株式会社RAYVEN(レイヴン) |
|---|---|
| サービス名 | Tumiki AI(ツミキ エーアイ) |
| 代表者 | 鈴山 佳宏 |
| ホームページ | https://rayven.co.jp/ |
株式会社エージェントリの「Agentori」は、賃貸仲介会社向けのAIによる顧客対応・管理システムです。
問い合わせに24時間いつでも対応し、希望条件の絞り込み、推奨物件の検索・提示までをAIが自動化。確度の高い見込み顧客を人間の営業担当へ引き継ぎます。多言語にも対応しています。


エージェントリが着目したのは、不動産賃貸における「顧客対応のスピード」です。問い合わせへの返信、希望条件の確認、物件の在庫確認、提案など多くの業務を人手で行う一方、CRMや物件情報は複数のシステムに分散しています。Agentoriは、こうした情報を一元化し、顧客対応を自動化することで、この課題を解決します。
導入企業では、確度の高いリードの獲得数が30%増加し、対応件数は2倍、初回応答のスピードは3倍に向上しました。人手では翌朝になっていた初回返信も、56秒で返せるようになっています。

すでに米国や日本国内で導入が進んでおり、今後はさらにグローバルな不動産市場への展開を目指します。
| 会社名 | 株式会社エージェントリ |
|---|---|
| サービス名 | Agentori(エージェントリ) |
| 代表者 | John Ahn |
| ホームページ | https://www.agentori.com/ja/ |
Demo Dayでは、第31期に採択された3社に加えて、Onlab卒業生3社によるAlumni Pitchも行われました。
2025年に15周年を迎えたOnlabは、これまでに167社を超えるスタートアップがプログラムを卒業。卒業生が参加するOnlab Alumni Communityでは、勉強会や交流の機会を通じて、起業家同士のつながりが続いています。
セキュリティ運用に特化したAIエージェント「ヤグラ AI SOC」を提供。フロンティアAIにより攻撃が加速するなかで、サイバー攻撃をAIが分析・判断し、真に対応が必要な脅威の検知から初動対応までを迅速化します。

| 会社名 | 株式会社ヤグラ |
|---|---|
| サービス名 | ヤグラ AI SOC |
| 代表者 | 迎 健太 |
| ホームページ | https://yagurasec.com/ |

ドライバー向けの健康・安全管理サービス「Nobi for Driver」と現場作業員向けの安全管理・業務改善サービス「MAMORINU」を提供。ドライバーや現場作業員の事故・労災を未然に防ぎます。

| 会社名 | 株式会社enstem(エンステム) |
|---|---|
| サービス名 | Nobi for Driver / MAMORINU |
| 代表者 | 山本 寛大 |
| ホームページ | https://en-stem.co.jp/ |

木材特化型AI「Laurel」を提供。膨大なデータから最適な木材を選定し、見積もりから調達までを迅速にサポートします。

| 会社名 | 株式会社森未来(シンミライ) |
|---|---|
| サービス名 | Laurel |
| 代表者 | 浅野 純平 |
| ホームページ | https://shin-mirai.co.jp/ |

台湾のアクセラレーター「AppWorks」、韓国の「KAIST(韓国科学技術院)」、そしてOpenAIとOnlabが2026年7月に開催したピッチコンテスト「Series T – Post AGI from Kyoto」の優勝チームなど、エコシステムパートナーが支援するスタートアップが登壇。
前述の「Series T」では資金調達の前段階でプロダクト開発に必要な開発クレジットを提供するという新たな支援の形を提案し、採択企業に総額100万米ドル(約1.6億円)相当のOpenAI開発クレジットが提供されました。
映像・音声などの非構造データをAIで解析するデータ活用プラットフォーム「DeepFrame」を提供。膨大なデータから特定のシーンや異常を自律的に検出して構造化し、データのナレッジ化と新たな価値創出を支えます。
インフィニマインド公式サイト https://infinimind.io/

AIセキュリティ・コンプライアンスプラットフォームを提供。脆弱性を自律的に検出・検証し、修正を支援することで、グローバル基準のセキュリティおよびコンプライアンス要件への対応を支えます。
PatchOne公式サイト https://www.patchone.dev/

水と電気だけで空気を浄化する独自技術を開発。水を電気で微細な霧に変え、菌やウイルス、微細粉塵、ニオイを除去します。エチレン除去にも応用し、空気と水の浄化に新たな選択肢を提示します。
A2US公式サイト http://a2us.co.kr/

アジア企業向けAIカスタマーサービスを提供。多言語・多チャネルでの問い合わせ対応をAIが自動化し、対応品質の均一化と人手不足の解消を実現します。400社以上への導入実績を持ち、AI対応は累計3,000万件を突破しています。
Raccoon AI公式サイト https://www.raccoonai.co/ja

Onlabでは、約3カ月のプログラム期間中、合宿や投資家メンターとの壁打ち、ピッチ練習など、各社の事業進捗や課題に合わせた個別支援をします。今回のDemo Dayに登壇した第31期の採択チームは、こうした支援のもと、事業を磨き上げてきました。
2010年の創設以来、31期にわたり167社を採択してきたOnlabは、次回資金調達率68%、エグジット率16.7%という実績を積み重ねています。


現在、第32期 Seed Accelerator Programの参加チームを募集しています。応募締切は2026年9月28日(月)正午。
プログラム期間は2026年12月から2027年3月まで。エクイティ出資や開発クレジット、渋谷・サンフランシスコのオフィス利用、起業家コミュニティなど、事業成長を後押しする環境を提供します。
プログラムの詳細・応募については、Onlab Seed Accelerator Programのページをご確認ください。

Colega AIのダブル受賞という熱気に包まれて幕を閉じた、Onlab 第31期のDemo Day。
第31期の3社をはじめ、AlumniやPartner Guest Pitchで登壇した各社の今後の挑戦にも、ぜひご注目ください。
Onlabはこれからも、エコシステムパートナーの皆さまと共に、スタートアップの挑戦に寄り添い、事業成長を継続的に支援してまいります。
(執筆:Onlab事務局)