2025年12月25日

北海道の課題解決に取り組むスタートアップを支援するアクセラレータープログラム「Open Network Lab HOKKAIDO(通称:Onlab HOKKAIDO)」第8期の集大成となるDemo Dayが、2025年12月9日に北海道札幌市にて開催され、プログラムを通じて事業を磨き上げた、第8期採択スタートアップと卒業生が登壇しました。本レポートでは、当日の様子をお伝えします。

今回は、第8期プログラムに応募のあったスタートアップの中から、厳しい審査を経て採択された4社が登壇しました。さらに、Onlab及びOnlab HOKKAIDOの卒業生によるピッチのほか、来年2月に開催の北海道発グローバルスタートアップカンファレンス「SHAKE H」(主催:STARTUP HOKKAIDO実行委員会)の紹介や、来夏誕生する札幌中心部最大級のスタートアップ拠点「Hook」の紹介などが行われました。
会場となった札幌市民交流プラザ・ クリエイティブスタジオには多くの参加者が集い、北海道におけるスタートアップへの関心の高さが感じられる一日となりました。
Contents
まずは、主催である株式会社D2 Garage/Onlab HOKKAIDO事務局より、Onlab HOKKAIDOのこれまでの歩みと第8期の活動報告が行われました。

今期で8期目を迎えたOnlab HOKKAIDOについて、これまでの取り組みを振り返るとともに、北海道のスタートアップシーンにおける活動や、プログラム卒業生の事業進捗が紹介されました。

Onlab HOKKAIDOでは、昨年第7期までに32社を輩出しており、そのうち56.3%が卒業後の資金調達に成功しています。また、卒業後の事業進捗として、VC・CVCからの資金調達や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称:NEDO)からの助成金採択、道内外における実証実験の事例などが紹介されました。
Onlab HOKKAIDOは今後も、道内のスタートアップエコシステムの発展と、北海道の地域課題解決に挑むスタートアップの発掘・育成に取り組んでいきます。
第8期プログラムは2025年3月より募集を開始。外国人ブルーワーカーのHR Agentic AI「ninaite.ai」を展開するNINAITEなど計4社を採択し、約5ヶ月にわたる事業の磨き込みを経て、Demo Dayを迎えました。
「ninaite.ai」は、高い精度で優秀な外国人人材をマッチング。就職後の伴走支援・在留情報管理などをプラットフォームで提供することで、外国人と受け入れ企業の双方を支援します。
https://ninaite.ne.jp/

「AIインバウンド担当」は、観光事業者のインバウンド対応を自動化する AIエージェントです。訪日旅行者からの予約や問い合わせ・クレーム対応など、国内事業者のノウハウ不足による課題を解決し、決済や顧客管理までを自動で完了。事業者の”稼ぐ力”の底上げを支援しています。
https://www.ikura.io/

「CarbonNest DAC」は、Direct Air Capture(ダイレクト・エア・キャプチャー)技術を用いた CO2除去ソリューションです。高品質なCO2除去と吸収したCO2を産業利用する経済性の2つを両立する、独自のDirect Air Capture ソリューションを展開しています。
https://carbon-nest.com/

「Next Green Vegetables」は、土からおいしい理由で選べる野菜の流通・販売事業です。畑土の機能低下を背景に、持続的な生産と高品質を両立させるバリューチェーンを構築。独自の土づくり支援を通じて、消費者が環境負荷に配慮されたおいしい野菜を安定して手に取れる仕組みを提供しています。
https://www.next-green.jp/

Demo Dayでは、Onlab HOKKAIDOと姉妹プログラムのOnlab Seed Accelerator Programの卒業生6社も登壇。事業進捗の報告を行いました。
「あらゆる人が持続可能な選択をしたくなる未来をつくる」をミッションに、独自のテクノロジーで開発した微生物群「コムハム菌」を使用したバイオマス処理システムを提供しています。生ゴミなどの有機性廃棄物を高速で減容・堆肥化させることが可能となります。
https://komham.jp/

mizuhachiは、水産資源枯渇の課題解決及び、磯焼け改善を目指す陸上ウニ養殖スタートアップです。独自閉鎖循環システム×飼料で海域比5倍速成長、歩留まり+15%を70日で達成。環境負荷を最小化し、持続可能なプレミアムウニを世界の市場へ安定供給していきます。
https://mizuhachi.com/

「SuperSponge」は完全自然由来の土壌保水剤です。高い生分解性を持つスポンジ素材を散布するだけで、長期間の保水を実現。農作業の水やり負担を軽減し、干ばつ地域に潤いをもたらす革新的な製品です。
https://teraform-inc.com/

「コドマモ」は、子どもをいじめや犯罪から守る親子向けAIスマホアプリです。LINEなどのSNSでの危険なやりとりをAIで自動検知できるほか、GPSによる外出中の見まもり機能も搭載。警察や大学との産官学共同開発で生まれ、大手通信キャリア等と連携してユーザー数を伸ばしています。
https://www.kodomamo.com/

「MentaRest」は、メタバース空間でのアバターカウンセリングを通じ、従業員のメンタル不調予防やエンゲージメント向上を支援しています。これらの施策に注力する企業から注目を集めています。
https://www.mentarest.com/

レッドクリフは、日本最大級規模1,500機のドローンで表現力、集客力、拡散力を最大化し、ドローンショーを最先端の広告媒体として夜空に新しい可能性を創り出します。
https://redcliff-inc.co.jp/

当日は、以下の3名が審査員を務めました。(敬称略)
新澤 明男 : 株式会社デジタルガレージ 執行役員CDMO グループデータマーケティング戦略統括
三浦 辰治 : 株式会社北海道新聞社 常務取締役 営業統括本部長
髙松 祐三 : 株式会社カカクコム 上級執行役員 インキュベーションカンパニー長
表彰式の冒頭では、審査員である株式会社カカクコムの髙松氏から「それぞれが持つバーティカルな課題解決を今後どう広げていくか、各社の手腕に期待したい」との総評がありました。
今年もゴールドスポンサーによる「Sponsor Award(協賛社賞)」が設けられ、今回はさくらインターネット株式会社、株式会社HBAの2社より授与されました。それぞれの受賞者は以下の通りです。


観客の投票によって選ばれる「Audience Award(オーディエンス賞)」を受賞したのは、株式会社NINAITEです。本賞は、審査員の三浦氏より発表されました。
代表の横山氏は「秩序ある共生社会の実現に向けて、北海道を拠点に引き続き取り組んでいきたい」とコメントしました。

最も優れたチームに贈られる「Best Team Award(最優秀賞)」を受賞したのは、株式会社NINAITEです。今期はNINAITE社のダブル受賞となりました。審査員からは、「マーケットのニーズをいち早く掴みながら、サービス開発をアグレッシブに進めてきたところが評価につながった」といったコメントが寄せられました。
代表の横山氏は「日本の社会問題を解決しながら、次は世界で勝負できるような事業展開に取り組んでいきたい」とコメントしました。

本DemoDayには多くの来場者が訪れ、イベント後のネットワーキングタイムでは多くの交流が生まれました。
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Onlab HOKKAIDOでは、引き続き世界へ羽ばたくスタートアップを支援するべく、プログラムを進化させていきます。Onlab HOKKAIDOの来期9th Batchプログラムの募集は、2026年3月から開始する予定です。皆様のご応募をお待ちしております。
(執筆:Onlab HOKKAIDO事務局 村上 文哉)