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作りたいものを本気で作る、起業という選択肢 |Meet with Onlab Grads Vol.2

作りたいものを本気で作る、起業という選択肢 |Meet with Onlab Grads Vol.2

Open Network Lab(以下、Onlab)は、「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。シリーズ「Meet with Onlab grads」では、プログラムに採択され、その後も活躍を続けるOnlab卒業生たちのリアルボイスをお届けします。

今回お話を伺ったのは、Onlab第5期生「Sider」創業者の角幸一郎さん。Onlabに入ったきっかけ、プログラム期間中の経験や今の事業にたどり着くまでの苦労についてお話いただきました。

< プロフィール >
Sider 創業者 角 幸一郎

1988年生まれ。学生時代よりフリーランスでエンジニアとして活動を行った後、楽天、CyberAgent(Applibot)、 DACなどで新規事業立ち上げに参画。 その後、株式会社アクトキャットを創業し、2度の社名変更を経て、現在は株式会社Siderとして事業を続けている。

もの作り好きから起業に至るまで

― まず、起業したきっかけを教えてください。

もともと新しくモノを作ること、育てることが好きで。当時まだ学生だったiPhone 3G時代(2009年)にiOSアプリの開発を始めたのがはじまりでした。大企業にエンジニアとして少し身を置いたこともあるのですが、 組織ならではの窮屈さ — 予算の制約、人、時期、テーマの縛り — をどうしても感じてしまって。自己資本・VC資本による事業提供が大企業内新規事業より成功確度が高いと思い、起業することを決意しました。

― Onlabへの応募を決めたきっかけは何ですか?

Onlabは、ちょうど僕が起業した2012年に5期生として参加しました。当時他にアクセラレータがあまりなかった日本で、起業家の登竜門ともいわれるYcombinatorの日本版、というフレーズが刺さり、事業をグロースさせるのに役に立ちそうだと思って応募しました。応募前からFRILの堀井さん、voyaginの方々などと話をさせていただいていたことがあったのでそれも理由の一つです。

― Onlabに応募された時のプロダクト、アイディアはどのようなものでしたか?

最初は、Facebook graphを用いて転職先をレコメンドするアプリのアイディアで応募しました。その後、プログラム期間中のユーザーヒアリングや課題検証を経て、Yahoo!知恵袋のインセンティブ付き版のようなものをスマホアプリで展開するものに大幅ピボット。より過去の自分の体験にマッチした “Why you?”に答えられる事業としてDemodayはそちらをピッチしました。

Sider 創業者 角 幸一郎
Sider 創業者 角 幸一郎

なぜ自分がやるべきか、により明確に答えられる事業へ

― 自己体験の文脈に沿ったプロダクト開発、ということだったのですね。その後事業はどうなったのでしょうか。

このアプリはリリースから1ヶ月で28,000会員を突破したのですが、アクティブユーザー数が1,000人以上にも以下にもならない状態が続き、事業譲渡することを決めました。Onlab卒業後もピボットを繰り返し、プロトタイプを開発しては捨てるの繰り返し & 受託開発で、自分がどの方向に進んでいけばいいのかわからなくなり、人生の迷子に…。

― 先が見えない苦しさはありますね…突破口を見つけるにあたって何をされたのでしょうか。

次は何をするべきか、会社を閉じる選択肢も含めて検討をする中で、自分を見つめ直すべく、Onlabメンターだった前田ヒロさんや、先輩のドリパス五十嵐さんに相談していました。いつでも話を聞いてもらえるような仲間を得られたのはOnlabのプログラムに参加した良さの1つだと思っています。

不思議と相談した全員から旅を勧められて、サンフランシスコへ一人旅にでることに。旅の中で気づけたのは、自分がこれまで何をしたいと思って、色々なことに取り組んできたか、その根底にあったのは「人の成長に貢献したい」という思いでした。自分が想像できる、解決したい、身近な課題は何かと考えた時に浮かんだのが、日々1時間は時間を費やしているコードレビューで。これを支援する事業を作れないかと考えました。

― その発見が今のSiderの原点なんですね。具体的にはどのようなサービスでしょうか。

Siderはコードレビューを支援する、開発者向けのWebサービスです。GitHubと連携し、開発者の書いたソースコードを自動的に解析、様々な問題点や懸念点を発見し、GitHubに通知します。結果、人がレビューをする前にSiderが問題を見つける(レビューをする)ことで、人のレビューの時間を節約することができます。

日本発の開発者向けサービスですが、弊社サイトを通じた直接販売だけでなくGitHub Marketplaceでも販売しており、現在世界100ヶ国以上の国で活用いただいています。より幅広いお客さんに使ってもらうため、代理店でのパートナーシップを進めるなどして、グロース拡大にむけて頑張っています。

ユーザーファーストなもの作りを

― Sider立ち上げ時にOnlabで学んで活かされたことはありますか?

一にも二にも、ユーザーと対話することの大切さ。プログラム期間中散々言われたのにしっかりと腹落ちしたのはDemoday後でしたが(笑)課題が何なのか、本当にあるのか、そのペインはどのくらい深いのか、ユーザーの声をキャッチし、認識をすること。siderを立ち上げる時はここを結構重視しました。

― 最後に、未来のOnlab生に向けて一言メッセージをお願いします。

まずは、「自分がやりたいことをやったほうがいい」ということ。少し投げやりに聞こえるかもしれませんが、 会社が潰れる時は社長がやる気を失った時だから、やる気を失わない、ずっと熱意をもって取り組める事業をすることが大事だと僕は思っています。起業しようと思った時は、まず自分が何を好きなのかをスタートポイントにするといいかもしれません。

あとは、シード期に心のどこかに留めておいて欲しいのは、「売上をあげる」ことの重要さ。 近年スタートアップも増えているので、トラクションがないと後々にファイナンスができなくなります。ユーザーにお金を払ってもらえるだけのサービスになっているのか、将来のマネタイズプランが見えているかをしっかり検証してから、プロダクトを立ち上げるといいと思います。

起業の原点は、自分の体験や好きなことだからこそ今の自分があると話す角さん。ただ「起業したい」ではなく、そもそも「何がしたいのか」から始めることで、情熱を形にするきっかけを掴めるのかもしれません。

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