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FAXからスマホへ。「CO-NECT」は受発注のコスト削減と時間創出に貢献する|Meet with Onlab grads vol.20

FAXからスマホへ。「CO-NECT」は受発注のコスト削減と時間創出に貢献する|Meet with Onlab grads vol.20

< プロフィール >
CO-NECT株式会社 代表取締役 田口 雄介

立教大学を卒業後、楽天株式会社に入社。その後、株式会社リクルート(現・株式会社リクルートライフスタイル)を経て2015年6月に株式会社ハイドアウトクラブを共同創業し、代表取締役に就任。2020年2月、CO-NECT株式会社に社名を変更。JWRC認定ウイスキーエキスパート。

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。これまでに数々のスタートアップをサポートしてきました。学生時代から「世の中のスタンダードになるITサービスを創り上げたい」という志を抱いていた、Onlab第15期生のCO-NECT株式会社(以下、CO-NECT社)代表取締役の田口雄介さんは、楽天、リクルートを経て、2015年6月に起業。Onlabに参加の後、2019年4月にBtoB受発注プラットフォーム「CO-NECT」をローンチしました。

CO-NECTは、従来FAXが多く用いられていた飲食業や小売業などの受発注業務を効率化するプラットフォームで、リリース以来、ユーザー数を増やし続け、2020年10月には受発注商品数が400万点を突破しています。

今回は、創業者の田口さんに起業時のエピソードやOnlab参加のきっかけなどについてオンラインでインタビューしました。急速な成長を続けるCO-NECTはなぜ生まれたのか、その経緯を伺いました。

※以下「CO-NECT社」は法人名、「CO-NECT」はサービスを表すものとします。

BtoB受発注の業務効率化や作業ミス削減を推進する「CO-NECT」

― まずは、CO-NECTについて教えてください。

CO-NECTは、BtoBの受発注業務を効率化するプラットフォームです。当初は、飲食店やバーにおける食品の受発注を想定して立ち上げましたが、現在では、ビジネス用品や理美容品、アパレル用品やキャラクターグッズなど、幅広い商品の受発注に用いられています。

発注側はサービスを無料で利用でき、スマホやPCから簡単に発注が行えます。そのため、発注書作成やFAX送信などの業務を効率化でき、また、電話やFAXで起こりがちな、誤発注や発注書への記入ミスなどを大幅に削減可能です。

受注側も、受注にかかる業務の効率化やミスの削減が可能なだけでなく、納品書や請求書、出荷伝票など、受注業務に必要な書類をシステム上で簡単に作成できます。

CO-NECT
CO-NECT

― CO-NECTのサービスとしての強みは何でしょうか。

発注側だけでも利用できる点です。一般的に受発注システムは、発注側と受注側の双方で導入しなければいけません。CO-NECTはシステム上で発注すると、その内容をFAXやメールに変換する機能も設けているので、取引先に導入の手間をかけさせずに発注業務のDXを行うことができます。

― その機能を実装した理由は何でしょうか。

例えば、飲食店がFAXの発注に負担を感じていても、取引先の受注業務のオペレーションが変えられないと対応ができないんです。そうした課題が、サービス立ち上げの際のユーザーヒアリングで浮き彫りになっていたので、発注側だけで導入できる機能は必須だと思い、実装しました。既存の受発注システムもありますが、この点を解決できないが故に、現在もなおアナログは受発注業務がなくならないだと思います。

「いまだに発注がFAXで…」―あるバーテンダーのつぶやきが、CO-NECTの原点

― 田口さんの起業のきっかけを教えてください。

学生時代から「いつか世の中のスタンダードになるようなITサービスを作りたい」と考えていました。私が就職活動をしたのは2005年でしたが、当時はまだIT業界も発展途上で、その分、未来への期待に胸膨らむ時代でした。

それで楽天、リクルートと2社のIT関連の企業を経験し、本当に自分のやりたいことを実現するには自らもプロダクトを生み出す側で挑戦しようと、2015年6月にCO-NECT社(当時の社名は「株式会社ハイドアウトクラブ」)を共同創業者の川崎文洋と2人で立ち上げています。

― 創業当時は、どんな事業だったのでしょうか。

創業時の事業は、今でも運営しているウイスキー・バー愛好家向けのコミュニティアプリ「HIDEOUT CLUB」です。今から10年ほど前に、川崎や他の友人たちと北海道に旅行に行ったとき、ニッカウヰスキーの原点である余市蒸溜所を訪れて、ウイスキーの美味しさを知りました。それ以来ウイスキーが趣味になったんですが、創業時はちょうど世界的にもウイスキー需要が伸び始めていく兆しがあり、NHKの連続テレビ小説ドラマの題材としても扱われるなど「『ウイスキー×IT』のサービスって、面白いな…」とHIDEOUT CLUBを立ち上げました。

― HIDEOUTCLUBを運営していて、そこからCO-NECTを立ち上げた経緯を教えてください。

CO-NECTの着想を得たのは、HIDEOUT CLUBに加盟していた、銀座のとあるバーの方と雑談しているときでした。その方が「発注をいまだにFAXでしていて、とても手間なんだ」とおっしゃったんです。

CO-NECT株式会社 代表取締役 田口 雄介

詳しく聞くと、発注書が手書きのため、しばしば誤発注が発生してしまうことや、バーは夜間に営業しているので、昼間に営業している卸業者やメーカーとすれ違いが起きやすいことなどを教えてくれました。

そのときに「じゃあ、スマホで簡単に発注できるシステムがあればいいのではないか」と思い付いたんです。その後、飲食店の方にもヒアリングをしてみると、バーと同様の課題を抱えていることが分かり、多品目を扱い発注頻度も高い飲食店にもかなりの深い課題がありそうだ、と開発に取り掛かりました。それがCO-NECTをスタートさせるきっかけです。

― 創業事業のウイスキーの領域とは別のサービスを手がけることに、戸惑いはなかったのでしょうか。

当時、自分と共同創業と社員・アルバイトの4名ぐらいで、共同創業の川崎には、ウイスキーアプリのサブスク課金が思うように進まず常に相談はしていましたが、たしかに、社内には「ウイスキーの仕事がしたい」という理由でジョインしたメンバーもいたので、正直なところ、多少の反発はありました。ただ我々はOnlabに参加した経験から、マーケットのサイズをより意識するようになっていたんです。BtoBの受発注領域はマーケットが広大だし、ニーズも存在する。それに、私の本来の志は、新しいスタンダードとなるITサービスを作ることだったので、ピボットに戸惑うことはありませんでした。

― 株主などのステークホルダーからの反応はいかがでしたか。

幸いなことに、Onlabや個人投資家の方々からは強く反対されることはありませんでした。もともと、事業自体にではなく、人やチームに投資していただいていたのかもしれません。特にOnlabの方々は、どこかピボットを前提にしているところがあって(笑)、CO-NECTの事業を前向きに捉えてくださったのかなと思っています。

CO-NECT株式会社 代表取締役 田口 雄介

コロナ禍によるテレワークの導入やDXが、顧客層拡大のきっかけに

― CO-NECTのその後の経過を教えてください。

まず2018年7月に発注側のシステムをローンチして、その後2019年4月に受注側のシステムを正式リリースしました。リリース後は、クラウド会計ソフト「freee」との連携や受注データの分析レポート機能の拡充などを進め、プラットフォーム型のサービスとして育っています。ユーザーも右肩上がりで増加していき、2020年10月には受発注商品数が400万点を突破、ユーザー数は前年同月比で10倍以上になりました。

― ユーザーからの反応はいかがですか。

当初想定していた飲食業界だけでなく、その他の領域からもお問い合わせいただいたのは、嬉しい誤算でした。想像以上にFAXや電話で受発注を行っている業種や業界は多いようで、例えば、京都の老舗和菓子メーカーでは、CO-NECTを導入して月に200時間の業務効率を実現したなど嬉しい声を頂いています。コスト的にも時間的にも大きなインパクトですし、まだまだCO-NECTにはスケールの余地があると睨んでいます。

― その他に、事前に想定していなかったニーズや利用シーンはありますか。

コロナ禍でテレワークを導入しはじめたお客様から、よくお問い合わせをいただくようになりました。FAXで受発注業務をしている場合、担当者がFAXを使用するためだけに出社しなければなりません。そのため、スマホやPCから利用できるCO-NECTの導入を検討されるようです。

また、消毒液や医薬品を取り扱う業種のお客様も増えました。コロナ禍で商品の需要が急激に高まり、アナログな手法では受発注が追いつかず管理しきれなくなったというのが、導入の理由です。

今後は、組織が急成長して、取扱商品の点数が急増した企業などにも、CO-NECTを利用していただきたいと考えています。

― CO-NECTの今後の展開を教えてください。

受発注業務にはまだまだ課題も数多く残っており、マーケットも十分に広大でチャンスが眠っていると思います。今後はそれだけではなくて、受発注の周辺に存在する業務についての機能を拡充することで、お客様のBtoB取引をさらに効率化したいと思っています。

既に請求書や納品書の作成は機能に盛り込んでいますが、最近では基幹システムとの連携を求められることが多いので、CO-NECTのAPI展開に向けた準備を進めています。また、受発注のデータ活用に関するサービスなども見据えながら、名実ともに「受発注プラットフォームのスタンダード」になることを目指して、ユーザー数の拡大を続けていきたいです。

左は田口 雄介さん、右は共同創業者の取締役CTO川崎 文洋さん
左は田口 雄介さん、右は共同創業者の取締役CTO川崎 文洋さん

腹を割って話せる同期スタートアップがOnlabの魅力

― Onlabへ参加したきっかけを教えてください。

HIDEOUT CLUBを運営していた頃にOnlabに応募採択されました。「ウイスキーのサブスクリプション機能」を追加しようと資金調達の当てを探しているころに、DGインキュベーション(現Onlab/DGベンチャーズ)の方と出会い、プログラムに誘われたんです。VCとのマッチングだけじゃなく、いろいろと学ぶ機会を与えてくれるのが魅力的だと思い、Onlab第15期への参加を決断しました。

― プログラムでの3ヶ月間は、どのような過ごし方をされましたか。。

当初からHIDEOUT CLUBにサブスクリプション機能を追加するつもりだったので、バーテンダーの方々にヒアリングを重ねました。店舗側のニーズを捉えつつ、サービスの加盟に向けたアプローチをしたり、既存の会員にユーザーヒアリングを行ったりして、ビジネスモデルを固めていった、という感じです。

右端:田口さんとOnlab 卒業生のFRIL堀井さんを囲んだプログラム当時の様子(2017年)
右端:田口さんとOnlab 卒業生のFRIL堀井さんを囲んだプログラム当時の様子(2017年)

― Onlabのプログラムの中で、学んだことは何でしょうか。

ピッチ資料作成づくりのレクチャーが、とても勉強になりましたね。投資家はどこを見ているのかとか、ストーリーを意識した内容にするとか、卒業後に資金調達資料を作成する際にも大いに役立ちました。当時の講義資料は今でも保存していて、時おり見返して、資料作成の参考にしています。

― 現在、Onlabへの参加を検討している方に、メッセージをお願いします。

OnlabはVCとインキュベーションのいいとこ取りのプログラムなので、「プロダクトを作りたいけど、まず何をしたら良いのか分からない」「志はあるけど、なかなか踏み出せない」といった方には、特に向いているのではないでしょうか。プログラム中だけではなく、卒業後もOnlabのインキュベーションチームがサポートしてくれますし、なにより同期の存在が大きいです。

私自身、今でも同期スタートアップ経営者たちとは親密にしていて、事業面や資金面で苦境に立たされたときなどには、腹を割って相談できる数少ない存在になっています。やはり、起業家同士にしか分かり合えないことがあるのだと思います。そうした仲間を見つける場として、Onlabを活用するのもいいかもしれません。

― ありがとうございました。

ウイスキーに関する事業のなかで触れた、ある1つの課題から生み出されたCO-NECT。飲食業における食品の受発注からスタートし、受発注業務に悩みを抱える幅広い企業のソリューションとして、右肩上がりで成長しています。

それはまさに、一粒の種が地中から芽吹き、枝葉を広げて、見上げるばかりの巨木に成長していく様を見るようです。今後は受発注を中心に据えたプラットフォームとして、さらにサービス領域の拡大に取り組むという田口さん。CO-NECTの動向から目が離せません。

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