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いつでもどこでもビビットに遊べる。子どもの好奇心を育むオンラインLIVE「アソビビット」|Meet with Onlab grads vol.15

いつでもどこでもビビットに遊べる。子どもの好奇心を育むオンラインLIVE「アソビビット」|Meet with Onlab grads vol.15

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしてきました。

今回は、子どもが体操や英語、お絵かき、クイズ、ゲームをオンラインで楽しめるサービス『Asovivit(アソビビット)』で注目されている、Onlab第21期の株式会社RambleOnの代表、屋冨祖(やふそ) 和弥さんのお話です。アソビビットは、子どもたちが夢中になれるプログラムを作ることで彼らの好奇心を育み、自分だけのわくわくするような世界を生み出すことを促進しています。

Onlabに参加したきっかけやプログラムから得られた経験等を、代表取締役社長の屋冨祖さんにオンラインでインタビューしました。

< プロフィール >
株式会社RambleOn 代表取締役社長 屋冨祖 和弥

2013年一橋大学商学部経営学科卒業。2015年Carnegie Mellon University Carnegie Institute of Technology Information Networking Institute修了。大学で経営学を学びつつ、独学でプログラミングを習得。経営学とコンピューターサイエンスを融合した学問である情報セキュリティに興味を持つようになる。コンピューターサイエンス世界トップの米国カーネギーメロン大学の大学院で情報セキュリティと機械学習を学び帰国。帰国後の2016年、株式会社RambleOnを創業。

きっかけは育児に悩む社員を救うため。子どもの「夢中」を育むサービスが誕生

提供:Asovivit
提供:Asovivit

― アソビビットのサービスについてお教えください。

アソビビットは体操や英語、お絵かき、クイズ、ゲームなどをオンラインで楽しめる親子の遊び場です。親子向けのサービスを立ち上げた直接のきっかけは、4歳の娘さんを持つ弊社の社員がオフィスに子どもを連れて来ていた時のこと。彼女は、オフィスで子どもを静かにさせるためにYouTubeを見せていましたが、子どもに教育上良くないものを見せているという罪悪感に苛まれていたそうです。そんな親御さんのもやもやした思いを解決するためにこのサービスを立ち上げました。子どもが一人でインタラクティブに遊べるサービスを自分がゼロから作ろうと思ったんです。

個人的な背景では、私は沖縄出身で地理的な障壁があったことから、幼少期は家にいることが多く、都会に比べると通える習い事の選択肢も限られていました。もっと自分の興味の赴くままに、色々とやりたかったな、と。また、海外の大学院に進学した時、日本で見たことのないレベルの天才が沢山いたんですよね。自らの好奇心に従って生きている彼らを見て「これはヤバい。日本でもこんな人が出てきたら良いのに」と、いても立ってもいられなかったんです。ヒトは好奇心がないと何かを追求しようとか、極めようという姿勢にはならない。そこで、アソビビットを通じて、子どものうちから面白いものを見つけて夢中になれる心を育み、自分だけの遊びや世界を生み出すお手伝いをしたいと考えました。

― アソビビットを提供し始めたのは2020年4月。新型コロナウイルスによって世の中のサービスがオンラインへ変わり始めた頃ですね。

実は、アソビビットの原型であるオンラインのベビーシッティングサービスを半年前から取り組んでいました。その中でユーザーが求めるのは、子どもが100%親の手から離れられる子守のようなサービスだと分かっていたのですが、当時の技術的なアプローチでは実現が難しかったんです。これから事業をどうしていこうかと考えていた矢先、新型コロナウイルスが発生しました。世の中のサービスが次々とオンラインにシフトし始めたタイミングで、私たちもエンタメのコンセプトに変えてみようとユーザーテストしてみたところ、幼稚園や保育園が休みで子どもと過ごす時間が増えていたせいか、多くの親御さんが興味を持ってくださり、新規ユーザーが徐々に増えていきました。

― アソビビットを使っている親御さんからは、どんなご感想が寄せられていますか?

「私の息子はシャイだと思っていたけれど、ワクワクさん(久保田雅人さん)やゆみかおねえさんの動画を見るようになってからは、『自分の作ったもの・やっていることを見てほしい』とアピールしてくるようになった」「子どもが没頭している新しい一面を発見できた」といった声をいただき、このサービスを始めて良かったと実感しましたね。また、ただの娯楽としての「遊び」だけではなく、子どもの知的好奇心を伸ばす教育要素が含まれていると親御さんに喜んでいただけます。リトミックをはじめ、「STEAM教育」といってScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術・教養)、Mathematics(数学)の5つを盛り込んだコンテンツも作っています。

現在、アソビビットが公開しているコンテンツには体操や英語、お絵かき、クイズ、ゲームがありますが、中でも工作やお絵かきといった「ものを作る動画」が人気です。これらは親御さんが子どもに教えにくい分野ですし、子どもが夢中になって遊び続けられるので、親御さんもその間は安心して手が離せるんですよね。今後は、科学実験や男の子が好きそうな動物・昆虫図鑑を追加していったり、Vtuberと絡めていくことを考えています。

オンラインとオフラインの境界線のない社会の実現に向けて、地道な試行錯誤を繰り返す

― 屋冨祖さんがOnlabのプログラムに参加しようと思ったきっかけをお教えください。

私はかねてからオンラインとオフラインの境界線をどうすればなくせるか、技術を使ってその境をどう解いていくかというテーマに興味があり、新しい経済社会の実現に向けた挑戦をしたいと考えていました。

アソビビットを立ち上げる前は美容系のスキンケアメソッドアプリ「Befy」というサービスを開発していました。ユーザーがスマートフォンで肌の写真を撮って問診に答えることで、自分の肌の状態を可視化することができ、最適なスキンケアの情報を得られるというサービスです。当初、C向けでリリースしましたが、なかなかグロースしなかった。そこで、化粧メーカーや百貨店に向けてデザインのコンサルティングをやったり、コンテンツやシステム受託で売上を作っているような状況でした。

会社をもっと楽しくしたい、もっと事業を加速させたい、でもこのままだと現状維持どころか、衰退の一途をたどってしまう。新しい人たちに出会って、色んな意見・アイデアをもらいながら、変わりたい、会社も自分も成長させたいと考えていました。そんな矢先、偶然にもOnlabで募集をみつけたというのがきっかけです。

Asovivit
21期 Asovivitチームメンバー

― Onlabのプログラムに参加した頃、アソビビットにはどんな課題がありましたか?

最初の頃は、各分野の方にお願いして幼児向けの動画を配信していました。当社には幼児教育のプロがおらず、コンテンツの作り方も手探りだったので、テーマや内容はすべてコンテンツホルダーにお任せして、私たちはオンラインでの予約や顧客管理をするだけでした。

現在のアソビビットは、コンテンツを配信するインタラクティブな仕組みになっていますが、当時はどうやってコンテンツや事業戦略を作っていくべきかが見えなかった。最初に資金調達をしなければならないモデルだということだけは理解していたので、OnlabでのDemoDayという多くの投資家にサービスをお披露目する機会というのは魅力に感じていました。

2020年4月、アソビビットを公式リリースした後、5月中旬には、子どもに遊びを教えてくれる達人「アソビスタ」として、なんとあのワクワクさんにご出演いただけるようになったんです。ワクワクさんのコンテンツは技術的なのに、子どもたちと双方向でものを作っていくので、子どもたちは最後まで前のめりになるんです。工作教室は200名もの親子が集まる盛況ぶりで、子どもの遊び心を理解しながらコミュニケーションを取れる。アソビスタを軸にコンテンツを提供していくことでアソビビットは成り立っていくのだと確信しました。

ユーザーヒアリングを実施して初めて分かった、顧客のパターンとインサイト

― Onlabのプログラム中、印象的だったエピソードはありましたか?

他社のアクセラレータ・プログラムにも参加したことがありますが、Onlabのプログラムはまるで「学校」のようでした。ハンズオン支援による事業のブラッシュアップや、経験豊富なメンターから受けるメンタリングが充実していて、オフィスアワーのフィードバックもさまざまなメンターがさまざまな角度から意見をくださるんですよね。

このフィードバック会は隔週で開催されて、自社サービスの進捗を報告したり、メンターの方々から仮説検証に対する評価をいただいたりするのですが、アドバイスを聞いているうちに自分たちにとってどれが最適解か分からなくなってしまうこともあります。そんな時はいつも、担当メンターというチーム付きのメンターが指針をくれるんです。「オフィスアワーでAさん、Bさんはそれぞれこう言っていた。屋冨祖さんはどうすればよいと思う?」と、飛び交った意見を束ねて丁寧に会話してくれました。いただいた提案をもとに2週間のアクションとで目標を決めて取り組み、またメンターから鋭く指摘を受けるサイクルを繰り返したことで、自分たちが納得いくレベルまで事業を深く考えることができたと思います。

一番驚いたのは、OnlabのPitchに対するこだわり。プログラムの終盤にPitchに対するブラッシュアップが4〜5回あったのですが、その都度、見え方や伝え方など資料の細部に対してアドバイスがある。思わず、大学・大学院のゼミで先輩からフィードバックを受けた頃を思い出しましたね(笑)。

― メンターからは、アソビビットについてどんなアドバイスがありましたか?

もともと、アソビビットはユーザーの課題よりも、自分たちの考える「こういうのがあったら良いな」で始めているので、メンターからは「説明にシズル感がない」と何度も指摘されました。そこで、ユーザーのリアルな課題を把握するべく30名ほどの親御さんを紹介してもらいヒアリングを実施しました。今思えば、それが事業のターニングポイントでしたね。

― インタビューを実施して、どんな実態が浮かび上がりましたか?

子どもを持つ友人知人を辿って聞いていったところ、彼らのパターンが見えてきました。例えば「支援型」の親御さんは、教育熱心で、子どもに新しい体験をしてほしいと見守り、子どもにテレビを見せなかったり祖父母と電話を繋げて遊んでもらったりしています。「迎合型」の親御さんは、子どもが興味を持つことに自分も一緒に楽しんで、基本的には叱らない。また、子供と遊ぶネタが思い浮かばなくて悩んでいる。「厳格型」の親御さんは、子どもを真剣に思うあまり、お受験や習い事といった自分の「こうあるべき」を押して厳しく指導する傾向にある、というような感じです。

「ユーザー」という大きなくくりでは、個々の持つニーズや傾向が分かりづらかったのに、パターン分けしたことで、それぞれに合うコンテンツを設計しやすくなりました。この分類は、神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄教授が1万人に実施した実証研究のデータと、私たちが実際にユーザーにインタビューした結果を元に作っています。その中から現在、アソビビットでは「支援型」の親御さんに向けたコンテンツに注力しています。子ども思いで高品質なサービスを求めてくる彼らが満足したら、最も大きな割合を占める「迎合型」の親御さんにも展開しやすくなると考えています。

― Onlabのプログラムで出会った同期からは、どんな刺激を受けましたか?

同期が受けているフィードバックを聴くのは新鮮でしたね。特に、自宅でできるマウスピース矯正を作るOh my teethさんは事業の進みが速いだけでなくOnlabの中間発表でも1位だったので、「あんなに実績はないけれど、これからどうやって闘うべきか」を社内メンバーでよく話していましたね(笑)。彼らとは事業内容は違うものの、それぞれどんな思考や戦略を持って事業を組み立てているか、それに対してメンターたちがどんなアドバイスや指摘を投げているか、自分事としてフィードバックを聞くのは、多面的に自社を省みる貴重な機会でした。

― オンラインのサービスが増えていく中、アソビビットの「ここはどこにも負けない」というところはどこでしょうか?

アソビビットにはブラッシュアップすべき部分や課題はありますが、今後、幼児教室や習い事業者がオンライン化をしても、現時点でコンテンツの質や技術の使い方は一歩リードしているので、右に出る者はいないと信じています。

例えば、動画を制作するにも一般的な幼児教室とはすでに台本や構成が違うんです。通常、幼児教室や習い事業者はオフラインで完成した自前のコンテンツをオンライン化して提供するのですが、それでは子どもたちがだんだんと飽きてしまいます。オンラインコンテンツにはオンラインならではの仕掛けが必要で、アソビビットは子どもの興味や「好き」を惹き付ける没入感を高める仕組みがあります。

「君はサラリーマンに向いていない」新卒の内定式で受けた言葉で始まった起業家人生

株式会社RambleOn 代表 屋冨祖和弥
株式会社RambleOn 代表 屋冨祖和弥

― 事業拡大や成長に向けて、今、何が必要だと考えていらっしゃいますか?

現在は、コンテンツの質向上と安定供給にフォーカスしているので、新たにコンテンツのプロデューサーを採用したいと思っています。これまでにない、新しいコンテンツに挑戦していて、今までと同じようなテレビ業界出身者でもないし、ずっと幼児教室を運営してきた先生でもない、面白いものを見つけて夢中になれる遊びや世界を一緒に生み出せるような人材を募集しています!

― 今後、より多くの親御さんにこのサービスを知ってもらうために、どんな工夫をしていらっしゃいますか?

まさに今の課題です。現在、SNS広告を介して新規顧客獲得を行っていますが、今後はYouTubeやInstagramでの投稿を増やしてアソビスタの認知度を上げてインフルエンサーにしたいと思っています。また、ユーザーに愛されるサービスは、彼らの集まるコミュニティや、友人・知人間の口コミで広がっていくので、児童館やリアルな場にも注目していきたいと思っています。

― 最後に、これからOnlabのプログラムに参加したいと考えている方や、会社員だけど起業したいと考えている方へメッセージをお願いします。

私が起業に至ったのは、新卒で入ったゲーム会社の内定式で人事に呼ばれ、「君はサラリーマンに向いていないから辞めた方が良いよ」と言われたのがきっかけなんです(笑)。もちろん会社の意図としては辞めさせるのではなく、起業のアイデアがあれば出資するから事業をやってみないか、という意味で。

また、私自身、面白そうなものや先が見えないものを選ぶ傾向があって、Onlabのプログラムもそれを理由に参加しましたが、想像以上に自分が気付かなかったことや新たに発見があった3ヶ月でした。やりがいに溢れていて楽しかったです。

現在、起業に迷っている人や、事業がうまく行かず自分の考えから抜け出せない人も、自分の中で守るものやプライドを捨てると新たなスタートが切れると思います。予測できることをやり続ける楽しさもありますが、「自分が気付かないことに気付くこと」は、あらゆる人とコミュニケーションして感じ取っていくしかない。そこで初めて新しい知識や新たな自分が見えてくるし、不安な中を突き進むことでもっと楽しいステージにたどり着くと信じています。是非Onlabに応募して、皆さんにもこの醍醐味を味わってもらいたいですね。

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アソビビットは「遊び」と「ビビッとくる体験」「ビビットカラーで家での遊びを彩る」「ビット=bit=デジタル体験」を掛け合わせた造語だそうです。そんなアソビビットの先生「アソビスタ」には、教育テレビの子供向け工作番組で長年活躍したあのワクワクさんもいるのですが、実は屋冨祖さん、YouTubeの連絡先から自分が昔好きだった工作のリストと依頼のメッセージを送って出演を快諾いただいたのだとか。様々な方からのオファーが殺到する中、きっと屋冨祖さんの熱いメッセージにビビっとくるものがあったのだとインタビューで答える姿をみて納得しました。

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