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サクセスのカギは「Why Hokkaido?」 ーOnlabTalk from HOKKAIDO #3

サクセスのカギは「Why Hokkaido?」 ーOnlabTalk from HOKKAIDO #3

北海道初のシードアクセラレータープログラム「Onlab HOKKAIDO」。現在、第4期の参加スタートアップを大募集中です!本記事 OnlabTalk from HOKKAIDOでは、応募を検討されている皆さまにプログラムの魅力をご紹介するため、卒業したスタートアップや関係者にお話を伺っています。今回は、Onlab HOKKAIDOメンターを務めている札幌のIT企業「エコモット」入澤拓也代表取締役と、前回記事に続いて第3期卒業生の「nanoFreaks」千葉佳祐代表取締役をゲストに迎えました。北海道からのサクセスには何がカギとなるのか。Onlabの佐々木智也がモデレーターとなり、お二人に聞きました。

< プロフィール >
写真左:エコモット株式会社代表取締役 入澤 拓也

北海道札幌市生まれ。高校卒業後に米国へ留学。帰国後の2002年、「初音ミク」で知られる札幌のIT企業「クリプトン・フューチャー・メディア」に入社した。07年に同社を退社し、エコモット設立。道路の融雪機器の灯油消費量を抑える省エネ製品「ゆりもっと」などセンシング技術を活用したIoT機器を開発した。2019年に東証マザーズ上場。小樽商科大学大学院でMBAを取得。

写真中央:株式会社nanoFreaks代表取締役 千葉 佳祐

北海道紋別市生まれ。山形大学理学部を卒業後、九州大学大学院に進学。近年盛り上がりをみせる福岡の起業カルチャーに刺激を受け、修士1年の2019年にnanoFreaksを設立。「Startup Go!Go!」「TORYUMON」など福岡を代表するピッチイベントで上位入賞を果たし、Onlab HOKKAIDO第3期Demo Dayは最優秀賞を獲得した。

写真右:Open Network Lab 佐々木 智也

2005年デジタルガレージ入社。デジタルガレージグループの戦略事業に携わる。海外投資先サービスの日本ローカライズや、パートナー企業とのジョイントベンチャー事業等に従事。Twitterとの資本業務提携により日本展開を主導。 シードアクセラレタープログラムOpenNetworkLabではスタート時より参画、現在エバンジェリストとして活動。 Twitterの日本におけるユーザーグロース経験や、投資先とデジタルガレージグループの事業連携をメインにインキュベーション事業を展開。

発掘と育成 Onlab HOKKAIDOの真価

佐々木(Onlab):
本日は、Onlab HOKKAIDOのメンターでもあるエコモットの入澤さんと、第3期Demo Dayで最優秀賞を受賞したnanoFreaksの千葉さんにお越しいただきました。まず初めに、お二人のビジネスについて伺わせていただけますか?

入澤(エコモット):
起業したのは2007年2月です。私はそれまでクリプトン・フューチャー・メディアで携帯電話向けのコンテンツビジネスを手掛けていました。楽しい仕事だったのですが、社会の役に立つ事業を自分で立ち上げたいと思いました。当時は京都議定書が発効されるなど世界的に地球温暖化の問題が注目されており、環境問題にアプローチすることにしたんです。エコモットを設立して最初に販売したのは、道路の雪を溶かすロードヒーティングの灯油消費量を抑えるシステム。当初の手元資金はたった10万円でした。パソコン1台でできるビジネスぐらいしか考えていませんでしたが、会社を大きくすることができました。

エコモット代表取締役 入澤 拓也
エコモット代表取締役 入澤 拓也

千葉(nanoFreaks):
私が開発しているのは「yobimori」というサービスです。漁師の皆さんに小型発信機を身に付けてもらい、海中転落時に数秒でSOSが発信できる仕組みです。私が生まれる前、漁師だった祖父が仕事中の海中転落で亡くなりました。故郷の紋別は漁師町で、私のほかにも出漁中の事故で家族を失った人がいます。漁師は命がけの仕事。でもその常識を変えて、安全な仕事にしたいと私は思うんです。世の中はデジタル技術で変わっていますが、漁業はまだまだ。デジタルと漁業の間にある境界線を溶かしたいと思っています。現在はyobimoriのテスト機を福岡市内の2つの漁協で使ってもらい、2021年6月のローンチを目指しています。

佐々木:
ありがとうございます。入澤さんにはOnlab HOKKAIDO第1期よりメンターとしてご協力いただいています。これまで卒業した14社のスタートアップについて、どのような印象を持たれていますか?

入澤:
皆さん、とっても若いですね。北海道って若い起業家が少なかったので、私はずっと最年少のような立場でした。それが今、自分が40歳になって年下の起業家が次々に現れている。中でもOnlab HOKKAIDOは力あるスタートアップを発掘し、うまく育てていらっしゃいますね。昨年の第3期卒業生なんて、みんな良かったですよ。千葉さんのyobimoriも、出漁中の事故で祖父を失ったという原体験があり、それをテクノロジーで克服したいという起業のビジョンが素晴らしいと思いました。

メンターと超えた技術の壁

千葉:
入澤さんには何度もメンタリングしていただきました。テスト機の開発段階でどうしても壁を突破できない時には、外部アドバイザーの方をご紹介いただき、何とか壁を乗り越えることができました。「高性能なデバイスを使っているはずなのにシステムが作動しない」と相談させていただいた時には、「性能が良すぎても、うまくいかないことがある」と具体的なアドバイスをもらいました。高性能なものを使うことが大切なのではなく、「解決したいことにあわせたスペック」で考えることが大切だと教わりました。

nanoFreaks代表取締役 千葉 佳祐(下段左から2人目)
nanoFreaks代表取締役 千葉 佳祐(下段左から2人目)

入澤:
それは良かったです。起業家は苦労すればするほど良いという人もいますが、私は違って、しなくてよい苦労はする必要がないと考えています。だから、どんどん聞いてほしい。リソースを使う力って、とても大切だと思いますから。ただ、弊社の社員にも言うのですが、自分で勉強し尽くして、それでも分からなければ質問する位の気構えは必要ですね。質問のレベルが低ければ、その人の浅さが出てしまうとも感じます。

佐々木:
失敗や成功の経験談を持つ先輩方に相談できることって、とても大切ですね。Onlab HOKKAIDOのスタートアップにとって、入澤さんを始めとしたメンターの皆さんの存在は本当に心強く感じます。

入澤:
私の経験を踏まえていうと、資本政策をしっかり学ぶことも大切ですね。出資いただける金額で考えるのではなく、会社の評価額ベースで考える必要があるからです。特にシード期のスタートアップには、先々のラウンドを考えて最初の出資を受け入れてほしいと思います。

Onlab 佐々木智也
Onlab 佐々木智也

産官学が回す北海道型エコシステム

入澤:
私が起業した当時、ベンチャーを育成支援する「札幌ビズカフェ」というNPO法人がありました。そこで様々なことが勉強できたからこそ、今の私があると言えるぐらい大きい存在だったのですが、2年前になくなりました。ビズカフェなどで受けた教えを次の若い人たちへ伝え、どのように起業のエコシステムをつないでいくかが大切だと感じています。

佐々木:
Onlab HOKKAIDOでは、北海道内の産官学が連携し、スタートアップが次々とイノベーションを起こせる環境を作っています。こうしたスキームについては、北海道でも昔から「あった方がいい」との声がありましたよね。でも、本格的な取り組みがなかった。だから、民間や自治体も巻き込んでOnlab HOKKAIDOのアクセラレータープログラムを立ち上げたんです。

入澤:
札幌の中心部に昨年誕生したインキュベーション施設「SAPPORO Incuvation Hub DRIVE」は素晴らしい場になっていますね。そう言えば、千葉さんがいる福岡にも「Fukuoka Growth Next(FGN)」というインキュベーション施設があります。

千葉:
FGNは廃校になった学校を福岡市などがリノベーションした建物で、スタートアップが100社以上入居しています。快適な作業場もあって、私も頻繁に通っていますよ。FGNで顔なじみになった人とは、キャンプに行ったり、お酒を飲みに行ったり。行けばスタートアップの誰かがいる、という空間はとても良いですね。

入澤:
Netflixで放映された韓国ドラマ「スタートアップ:夢の扉」って見ました?サンドボックスっていうスタートアップ支援施設が舞台なのですが、起業家のチームが切磋琢磨しながらビジネスを磨いている。あれ、すごくいいなと思いましたね。やっぱり場所は本当に大切です。

入澤:
海外の起業エコシステムでは、北海道の場合、北欧が参考になりますね。私たちはデンマークやフィンランドの企業と交流する機会が多いのですが、寒冷地であることなど地域課題が共通していて、たまに北海道のプレゼンを聞いているような感覚に陥ることがあります。逆パターンで、Onlab HOKKAIDOの卒業生が北欧でプレゼンする機会を設けるのも面白そうですね。

東京でできぬこと 磨いてこそ

佐々木:
北海道をフィールドにサクセスを掴むには何が大切でしょうか。

入澤:
「Why Hokkaido?」を突き詰めて考えることだと思います。東京でできることは東京でやった方がいい訳ですし、北海道だからこそのビジネスに挑戦してほしいと。Onlab HOKKAIDOのスタートアップは、みんな「Why Hokkaido?」を大切にされていますよね。3期生で言えば、介護SaaSのHELTEQは高齢化著しい北海道ならではのサービスですし、Flyersは北海道の美しい景観を撮影したいドローン愛好者向けのサービスです。また、私自身も最初のビジネスでは雪を相手にしていました。

Onlab HOKKAIDOからは14社のスタートアップが卒業
Onlab HOKKAIDOからは14社のスタートアップが卒業

佐々木:
「Why Hokkaido?」は私も同感です。今期のOnlab HOKKAIDOの重点テーマは「一次産業・宇宙産業・バイオヘルスケア」です。例えば北海道大学にはバイオヘルスケアの知的財産がたくさん眠っているし、農業は北海道に広大なフィールドと沢山の課題があるし、宇宙分野は先進的なチームが既に北海道大樹町から誕生しています。東京で起業すればいいじゃん、とならないためには、北海道ならではの差別化要因を磨くことは大事ですね。とはいえ、Onlab HOKKAIDOは、観光、環境など北海道の課題解決に挑んでいるチームであれば、領域は問いません。

入澤:
北海道って、起業するには市場規模がちょうどいいサイズだと思うんです。500万人ぐらいの人口がいて、様々な実験が出来る。同じ仕組みを日本全人口の約1億3千万人でやっても、なかなかうまく行きませんから。規模的にはフィンランドと似ていますね。北海道で自分のビジネスを試してみる、というのは有効な選択肢だと思います。

使命感を燃やしてほしい

佐々木:
Onlab HOKKAIDOからも勢いのある様々な領域のスタートアップをどんどん送り出したいと思っています。複合的な起業のモーメンタムを北海道に広げたいというか。ただ、私ら支援家のできることは限られていて、最終的には起業家なんです。最後は社長、CEOがやり抜けるか。

入澤:
Onlab HOKKAIDOには、北海道の課題を解決することが使命やライフワークだと思ってくれる起業家に応募してほしいですね。先日、メルカリの山田CEOが講演で「世の中は絶対こうなる、という方向にはっていくことが大事だ」と仰っていました。今、環境問題がもう一度フィーチャーされている時代です。絶対水素社会になるし、グリーンな世の中になる。意欲のあるスタートアップの方には、北海道という場所から私も全力で応援させていただきます。

Onlab HOKKAIDOスタッフ紹介

< プロフィール >
Onlab HOKKAIDO 藤間 恭平

Onlab HOKKAIDOは日本初のアクセラレータープログラム「Open Network Lab 」のノウハウと北海道内の産官学が連携したプログラムです。短期間での事業成長を可能とする伴走型の支援に加え、アイデアを実証するための多種多様なリソースやコミュニティを揃え、起業家の皆さんをサポートいたします。今期は、昨年「スタートアップ拠点推進都市」に選定された「札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会」とも連携し、同会がビジョンに掲げる「一次産業」、「宇宙」、「バイオ・ヘルスケア」などの領域に注力しつつ、北海道で活動中のあらゆるスタートアップの皆様の事業成長を支援します。 
Onlab HOKKAIDOでは、プログラムを通じてスタートアップの事業成長に欠かせない「ブレない事業価値」を創り上げます!私の得意領域は事業戦略、アイデア検証、顧客開発。短期間での事業成長を可能とする伴走型の支援に加え、アイデアを実証するための多種多様なリソースやコミュニティを揃え、起業家の皆さんをサポートいたします。北海道を、世界を変えるイノベーションを共に興しましょう!皆様のご応募をお待ちしております!