2023年04月13日
デジタルガレージが2010年から取り組んできた日本初のシードアクセラレータープログラム「Open Network Lab(以下、Onlab)」はこれまで数々のスタートアップを支援・育成してきました。このノウハウを北海道に移植し、2018年からスタートしたOpen Network Lab HOKKAIDO(以下、Onlab HOKKAIDO)では、北海道ならではの資産を活かし、課題解決に取り組むスタートアップを支援しています。
今回は、Onlab 第24期 Demo DayでAudience Awardを受賞した、心拍データを使ったドライバー支援ツール「Nobi for Driver」の株式会社enstem代表取締役の山本さんをお招きし、北海道で事業拡大を目指した背景や、道内の事業者と事業連携を実施した経緯など、Onlab HOKKAIDOを運営する株式会社D2 Garage代表取締役の佐々木とともに、スタートアップが地域別に顧客開拓を実施するコツを伺いました。
< プロフィール >
株式会社enstem 代表取締役 山本 寛大
新卒でGoogleに入社し、広告の営業として勤務。アジアで表彰されるなどグローバルに活躍。その後株式会社Cogent Labsにて事業開発マネージャーとしてAI技術を活用した大手とのPoCなどを行った後、2019年6月に株式会社enstemを起業。
株式会社D2 Garage 代表取締役 / 株式会社デジタルガレージ 執行役員 オープンネットワークラボ推進部長 佐々木 智也
2005年デジタルガレージ入社。デジタルガレージグループ戦略事業に携わる。海外投資先サービスの日本ローカライズや、パートナー企業とのジョイントベンチャー事業などに従事。Twitterとの資本業務提携により日本展開を主導。シードアクセラレータープログラム「Open Network Lab」ではスタート時より参画、現在エバンジェリストとして活動。2018年、D2 Garageを設立、代表取締役就任。
― enstem(エンステム)の概要について教えてください。
山本(enstem):enstemは「すべての人に最高の生き方を。」というミッションのもと、多くの方々の人生をより良くするために生体データを活用したサービスを開発しています。もともと「Nobi for Team」という、専用スマートウォッチのデータとコンディションチェックのデータを分析し、個人の健康状態を独自の指標で数値化・見える化するサービスを作り、スポーツチームや、従業員のコンディションやパフォーマンスを向上させたい企業にご利用いただいていましたが、2022年にOnlabでシードアクセラレータープログラムを受けたことを機にピボットし、現在は「Nobi for Driver」というドライバー向けのサービスも展開しています。ドライバーが運転する時に心拍数と位置情報をリアルタイムで計測することで、管理者がドライバーの体調を事前に把握でき、危険な兆候が見られた時には検知・通知する仕組みになっています。
― 佐々木さんは、enstemがOnlabプログラムに採択された当時について覚えていらっしゃいますか?
佐々木(D2 Garage):山本さんはOnlabの24期生として2022年1月からプログラムに参加していました。当時のプログラムはオンラインがメインで、事業のブラッシュアップを毎週進めていましたね。プログラム最後のDemoDayはオンライン配信でしたが、実際の会場で審査員を前に、山本さんがピボットした事業やサービス構想について堂々と語っていたことを覚えています。
― Nobi for Driverにはどのような強みがありますか?
山本(enstem):強みは3点ありますが、まず、眠気の検知を評価していただいています。従来のドライブレコーダーでは、ドライバーが眠くなってうたた寝を始めた時にビーッと鳴る仕組みでしたが、それでは気づくのが遅くて事故リスクを軽減できない課題がありました。Nobi for Driverを使うと心拍データをリアルタイムに取得・分析し、ドライバーが自覚する前から眠気を検知して「適切なタイミングで休むべき」というアラートを振動と音声でお知らせします。次に、運転した時間や場所のデータからドライバーの傾向を可視化・振り返りができるので、ドライバーの安全や健康意識を向上させたり、管理者がドライバーの得意・不得意な場所を把握した上で運行計画を作成したりできます。3点目は、競合他社と比較すると圧倒的に安価でサービスを提供しているので、運送業界やバス業界をはじめ、ドライバーが必要とされているさまざまな業界・規模のお客様にご導入いただいています。
― 山本さんの簡単なご経歴と、どのような経緯でenstemの立ち上げに至ったのかを教えてください。
山本(enstem):新卒でGoogleに入社した後、AI企業での事業開発を経てenstemを起業しました。Googleでは中小規模の広告予算を使っているお客様にマーケティングの戦略立案を行ったり、大手電気通信事業者とともにテレビやデジタルの予算配分やオンラインとオフラインの評価、顧客データの広告戦略への活用を担当したりしていました。その後、学生時代からの知り合いだった当時の社長に誘われ、OCR(紙面や画像ファイルの文字を自動でデジタルデータに変換する機能)などの仕組みを作るCogent Labsに転職しました。メンバーの7割が外国籍で、博士号を持っている世界トップレベルの研究者やエンジニアが集まっている環境だったので刺激を受けながら修行させていただきました。
もともと起業しようと思っていたんですよね。私は幼少期から野球をしていたので人体の波形データとAIを掛け合わせられるのでは、と。Cogent Labsにいる研究者たちがオーラリング(指にはめるだけで健康状態が分かる指輪型活動量計)を身につけているのを見て、自分も「スポーツ × AI」を事業にしたいと起業しました。当初はまだ具体的なアイデアがありませんでしたが、「生体データとAIの相性は良い」という仮説を海外で検証するためにベトナムのサッカー元代表選手が設立した財団で実験したところ、大きな手応えを感じたことから事業展開をしようと決意しました。
― 佐々木さんはこれまで約10年間東京にてOnlabを担当し、現在は北海道でD2 Garageという会社も統括していると伺っています。D2 Garageはどのような活動をしていますか?
佐々木(D2 Garage):D2 Garageは、私たちデジタルガレージと北海道新聞社の合弁会社として設立されました。その中で「北海道から世界に羽ばたくスタートアップの発掘・育成」をミッションに、北海道札幌市を拠点としたOnlab HOKKAIDOを運営しています。また、北海道のスタートアップ・エコシステムの構築に向け、地方行政と手を組んだイベントの開催やオープンイノベーションプロジェクトの運営、また、北海道をベースに活動しながらグローバルスケールを目指すシード期以降のスタートアップへの投資を行っています。
― 2022年4月に開催されたOnlab 第24期 Demo Day以降、enstemはどのように変化していきましたか?
山本(enstem):2022年6月にNobi for Driverのプロダクトをリリースしてから、2023年2月現在までにご導入いただいた企業は累計65社を超えます。当初はターゲットを運送業界に絞っていましたが、産業廃棄物処理業界やバス業界、タクシー業界とさまざまな企業が同じようにドライバーの高齢化に悩んでいることや、ドライバーの健康起因による事故リスクを抑えたいと考えているのに何も導入していないことを知り、予想以上に大きなマーケットだと確信しました。さらに、タイやインドネシアなどの海外でもドライバーの安全を守りたいという声が挙がっていて「車が走る国ならどこでもこの課題がある」と分かりました。
お客様のニーズは最初に想定した時からあまり変わっていませんが、サービスの操作が面倒だと使ってくれないので導入をよりシンプルにしていきました。また、同様のサービスを開始した大手物流企業と比べると、弊社が提供する価格は約8分の1。バスやトラックのガソリン価格が高騰している昨今では他社サービスから乗り替えてきたお客様や、じっくり比較検討してNobi for Driverを選んでくださるお客様が増えています。
― 現時点でのNobi for Driverに対してどのような課題を感じていますか?
山本(enstem):似たようなドライバー向けサービスが乱立してドライバーがやることが増え過ぎています。そのため、Nobi for Driverではデジタルタコグラフ(自動車運転時の速度や走行時間、走行距離といった情報をメモリーカードに記録するデジタル式運行記録計)を開発する会社とともにドライバーがボタンを押す回数を減らす試みを検討していこうと考えています。
また、1人当たり初期費用6000円、月額1000円を頂いていますが、ドライバーが増えていくとどうしても膨大なコストになってしまいます。そこで、今後は国土交通省に補助金を付けていただいたり、トラックの共済組合に助成していただいたりすることで、初期費用を無料にできないだろうかと考えています。特にドライバーを抱える中小企業やタクシー会社では営業利益率が低いので、コストの問題には対応していかなければなりません。
― 新しいデジタルツールに対して難色を示す方もいらっしゃると思いますが、どのように広めていますか?
山本(enstem):実は運送業者は日本で62,000社もあり「友達のお父さんが運送業者でした」という人が身近にいるくらいなので、最初はそういった方へのヒアリングからスタートしました。また、トラック協会には50歳以下の経営者が集まる青年部があり、家業を継いだ2〜3代目の方や若くしてトラック事業を起業した方が多いんです。彼らはドライバーの健康を守って事故リスクを軽減したい思いが強いし、当たり前のようにスマホのアプリを使うので、積極的にアプローチしていきました。地道な努力の結果、現在はNobi for Driverをさまざまな新聞に取り上げていただいたり、大手企業でも導入が進んだりするようになりました。
― 2022年7月にD2 Garageが主催した学生ミートアップへ山本さんがご参加になったと伺いましたが、どのような経緯だったのでしょうか?
佐々木(D2 Garage):Onlab 第24期 Demo Dayが終わった時の懇親会で「次に北海道を目指してみないか?」と話しかけたのがきっかけです。その切り口を探していた時、ちょうどD2 Garageがスタートアップ・エコシステムを築くために月1回開催しているイベントで学生向けのミートアップ企画が予定されていたので、山本さんをゲストでお招きしたら北海道の学生たちに良いメッセージを届けられると考えたんです。
山本(enstem):以前から「北海道は長距離ドライブが多いからNobi for Driverとの相性は良い」というお話を頂いていましたが、佐々木さんにお声掛けいただいたおかげで、このミートアップに参加した北海道庁や札幌市、北海道銀行の方々と繋がることができ、それが数々のネットワークに派生していきました。
― その後、2022年10月に北海道庁のスタートアップ支援プログラム「新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム」にも採択され、根室交通様とenstemが連携して心拍データを活用した健康起因による事故リスクを減らす取り組みを行っています。
佐々木(D2 Garage):Onlab卒業生や、北海道にある課題を解決する糸口になるようなスタートアップを集めて「北海道の課題はこのように解決します」という提案を北海道庁に送り、ご賛同いただいたことで機運を高めていきました。
enstemを例に挙げると、北海道では運送業界やバス業界、観光業界でドライバーが長距離運転をすることで生じたストレスや体調不良によって事故件数が増加しています。そこで、北海道庁に「ドライバーの健康と安全を守りましょう」と持ちかけて実際に悩んでいる自治体や企業を探していただき、手を挙げてくださった根室交通とenstemをマッチングして意気投合しました。
― その結果、根室交通様にはどのような変化がありましたか?
山本(enstem):ドライバーの皆さんは心拍データに馴染みがなく「これで何ができるんだ?」と半信半疑でしたが、実際に装着していただくと「眠くなる前にアラームが鳴った」「ヒヤリハットが正しかった」と喜んでいただけるようになりました。また、北海道では広大な土地をまっすぐ走る長距離の道が多いのですが、ドライバーの心拍データが集まってくると「長距離を運転する」よりも「帰りの道5〜10kmを運転する」方に気が抜けるタイミングがあることをデータで可視化できました。運行計画やシフトを作成する方々はそのリアルなデータをもとにドライバーへの注意喚起や健康管理ができるようになりました。
現在、根室交通では「ドライバーの眠気を知らせるアラームが鳴るとこんなことが起きます」と謳った広告をバス乗客の皆さんにもPRしていらっしゃいます。ドライバーも「事故リスクを取るくらいなら休もう」と判断するようになりましたね。enstemとしても初めてのバスの事例を作ることができました。
― 北海道のスタートアップ支援として実施した「新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム」の概要について詳しく教えてください。
佐々木(D2 Garage):もともと本プログラムは北海道庁長が発案し、電通北海道と北海道新聞社のコンソーシアムで受けているのでD2 Garageはいわゆる黒衣です。まず、企業や自治体には課題を、スタートアップには彼らが提供できるソリューションを公募します。その中からデジタルイノベーションを起こすとみなした案件をマッチングさせ、フィットしたスタートアップに事業費を提供して実証実験から社会実装まで行うことが目標です。有り難いことに、今回の根室交通とenstemはプログラム終了後もご利用いただいていますね。最終日にはOnlab HOKKAIDOが成果発表会を開催しました。根室交通の社長や北海道知事にもお越しいただき、みんなでこの実験を成功させた旨を披露しました。現在、実際に営業をしていく準備もできています。
― enstemが東京以外のエリアでお客様を開拓する際、どのような苦労がありましたか?
山本(enstem):佐々木さんやステークホルダーの方々からのサポートを受けながら、現在は熊本まで事業を拡大してきましたが、エリアによって苦労もさまざまです。北海道は保守的で信頼関係を大切にする印象があります。また、メディアでの空中戦から「新聞に出ているんだ、いいね」と評価されますが、事例がまだありません。現在も見てくれが良くなっているものの、まだ地道な営業をしなければならないですね。一方、大阪や兵庫、奈良などの関西では入口が大変ですが、一度どこかのフラッグシップに入ってしまえば「うちもやりたい」と動いてくださる方が増えてネットワークが広がっていきました。九州では「自分が良いと思ったら傘下の企業全てに入れるからトライアルさせてほしい」という地域の中心的存在の経営者へのアプローチをしていきました。
佐々木(D2 Garage):enstemはすでに全国規模で導入が広がっていましたが、北海道の開拓はチャレンジだったのではないでしょうか。北海道で事業拡大する上で難しいのは、テレアポや知人からの紹介による営業突破が難しいこと。複層的にいろんな話をしてやっと話を進められるレベルなので最初が肝心です。一度北海道でフォーマットを作ったら他の地域でも活かせると考えています。
さらに、北海道ではまだ「スタートアップって何?」という地域が多く、ガラケーを使っているドライバーもいらっしゃいます。これだけたくさんの課題があって、それを解決するスタートアップの技術が進化しているのに「知らないから使わない」のはもったいないですよね。Nobi for Driverを使うとドライバーの事故リスクが減るんですから、ぜひ皆さんに試していただきたい。北海道新聞社とデジタルガレージで立ち上げたD2 Garageはメディアを通じて皆さんにenstemの取り組みを知っていただき、次のスタートアップの実証の場に繋げたいです。
― enstem以外の事例もぜひお聞かせください。今後、D2 Garageはスタートアップへどのような支援をしていきたいとお考えですか?
佐々木(D2 Garage):「新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム」ではyobimori(よびもり)という、海難事故から大切な命とそのご家族を守る漁師の助け合い救助サービスを作っているスタートアップがあります。yobimoriもOnlab HOKKAIDOの卒業生ですが、enstemとはサポートの仕方が違います。2022年4月に知床観光船沈没事故が発生したので、その裏側の漁港で実証実験しています。yobimoriは「日本一安全な海を作る」をミッションに領地や観光船、自治体を巻き込んでいますが、それだけではビジネスに繋がらない。そこで、北海道漁連との販売契約の締結までサポートしました。
山本(enstem):私たちも佐々木さんが作り上げた人脈をフル活用させていただいただけでなく、D2 Garageの方々からも「このスキームでやりましょう」「こうだったらできると思いますよ」「こういう見せ方はどうですか?」と親身になってご提案いただいています。Onlabに参加すると事業開発や営業開拓の段階から手厚いサポートが受けられて、コンサルタントに依頼するよりもずっと心強い。これは他プログラムではなかなかありませんね。
佐々木(D2 Garage):今後はトラベルテックをテーマとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)セミナーの開催も計画しています。例えば、貸切バスをマッチングするオンライン貸切バス手配サイトなどを手掛けるワンダートランスポートテクノロジーズなど、Onlab卒業生が参加するような場にする、とか。また、東京のスタートアップから「北海道で事業を展開するにはどうしたら良いか」という相談を頂くので、彼らが北海道に来ることで地域活性化にも繋げられたら良いですね。
― 今後、D2 GarageやOnlab HOKKAIDOは北海道での起業や営業開拓、事業拡大を考えるスタートアップにどのようにアプローチしていきますか?
佐々木(D2 Garage):2018年にOnlab HOKKAIDOが立ち上がってから17社のスタートアップを輩出していますが、北海道発のスタートアップはマーケット・ポテンシャルが低いところを選ぶ傾向にあるので、さまざまなスタートアップと交わって刺激を受けてもらいたいです。同様に、東京を拠点に活動しているスタートアップが北海道で事業を展開したいと考えているのであれば、D2GやOnlab HOKKAIDOにぜひ声をかけてほしいです。Onlabの卒業生たちが北海道でも道を切り開いたりするためにD2 Garageでは支援の幅を広げていきます。
― 北海道の企業や自治体が抱える課題やニーズを把握している佐々木さんからご覧になって、北海道の課題やポテンシャルは何だと思いますか?
佐々木(D2 Garage):業種によってさまざまですが、北海道では交通や物流で課題が山積みです。ドライバーや労働者が不足していることに加え、人口減や冬の積雪も顕著に挙げられます。このような課題を解決するサービスを展開するスタートアップはぴったりとハマると思います。
また、D2 Garageが事務局として参画している、革新的なアイデアや技術を持つ国内外のスタートアップと社会を繋ぐプロジェクト「STARTUP CITY SAPPORO(SCS)」では、さっぽろ連携中枢都市圏内の12自治体と連携し、圏内の地域・行政課題を国内外のスタートアップと協働で解決を目指す国内最大級の行政オープンイノベーションプロジェクト「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」を実施しています。2023年は共通テーマとして「行政DXの推進」や「交流人口・関係人口の創出」、個別テーマとして「新しい観光サービスの創出」「除雪オペレーションのスマート化」といった計14のテーマに対するアイデアを募集しています。全国どこからでもチャレンジできますし、この機にこの施策を知っていただけたら嬉しいですね。
― enstemの今後の事業プランやロードマップをお聞かせください。
山本(enstem):ドライバーはバス業界だけでなく物流業界にもいらっしゃいます。物流業界では倉庫や工場を所有していて、こちらでもドライバーの高齢化が進んでいて、ほとんど外と同じ環境で働いているので夏の酷暑や冬の極寒で体調を崩しやすいんです。1人でも欠けると成り立たなくなる倉庫に特化したサービスも新たに生み出したいです。さらに、世界にはブルーワーカーと呼ばれる業種が日本よりも多い国が沢山あり、やはり同じような課題を抱えています。80億人の心臓が動いているかぎり、enstemは海外進出をして各業界が困っていることに特化したサービスを作っていきます。
― enstemではどのような採用活動を行っていますか?
山本(enstem):常に人材を募集しています。私が社長なのでカルチャーは「やりたいことをやってくれ」と自由です。地方に行くことが増える今後は、特にカスタマーサクセスで活躍する方に来ていただきたいですね。お客様と話すことが好きな方や、いろんなお客様や関係者へ誠実に対応できる方、お客様の懐に入っていけるような方は大歓迎します。
― 北海道や関西、九州など、東京以外のエリアで活動を考えているスタートアップの方にアドバイスがあればお願いします。
山本(enstem):先述のとおり、地方にはそれぞれに特徴があるので、早い段階からその出身の友人知人にヒアリングして理解しておくことが大事です。また、業界が古くても、地方がアナログでも「通じる層」は存在します。しっかり探して、地域に特化した戦略やスキームを組んでいくと少しずつ可能性が広がっていきます。積極的に土地土地の特色を知ろうと動いていると皆さんは気持ち良く話してくださるし、仲間が増えていくと協力者も増えていきます。「ここを紹介したいんだけど良い?」とご連絡を頂くなど、皆さんが自由に営業してくださるようになって全国に営業できるようになります。
佐々木(D2 Garage):営業メンバーがいない、とにかく多忙を極めているといったスタートアップをD2GやOnlab HOKKAIDOではサポートしています。使えるものはぜひ使ってくださいという感じですね(笑)。北海道で「こんなことができないか?」があれば、こちらでスキームを考えてお伝えします。そもそもスタートアップは世の中にイノベーションを起こしたりお客様の役に立ったりするサービスを作っているので、きちんと説明してマッチングしたら喜んで使ってくださるお客様は必ずいます。
(執筆:佐野 桃木 編集:Onlab事務局)
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