2022年04月26日
Open Network Lab(以下「Onlab(オンラボ)」)は、2022年4月25日に第24期のDemo Dayを開催しました。第24期は132社からの応募があり、SaaS、D2C、HR、介護、ヘルスケア分野からのスタートアップが増加。書類審査・面談・最終審査を経てDemo dayに辿り着いたのは4社でした。またDemo DayにはOnlabの卒業生も登壇しています。変化の激しい事業環境の中で、ユーザーインサイトを捉えて事業を進めていける、深い業界理解と事業開発力を兼ね備えたチームが揃った第24期のDemo Dayを振り返ります。
WAAK˚の調査によれば、今後76%の企業がオフィスを縮小し、同時にホームオフィスの需要が高まっているとのことです。しかしホームオフィス家具は、デザイン性・機能性・ちょうどよい価格を兼ね備えた商品が少ないのが現状です。また自宅の家具とのバランス、体型に合った家具、音楽等専門的な機器の配置が必要といった課題もあります。そこであらゆるニーズを、設計変更しやすい木製家具で解決するのがWAAK˚です。
例えば電動昇降デスク「WAAKstanding」は、インテリア性の高い無垢材天板の昇降デスクで、体型に合わせ高さを変えられるので、学習机からスタンディングデスクまで、幅広く活用可能です。天板がスライド式となっており、必要なケーブルだけを取り出して使用できるため配線の課題を解決。WAAK˚は他にも様々な種類の家具を用意しています。
またWAAK˚は法人向けサブスクリプションプランも計画中。企業が契約し、従業員の自宅に届けるモデルであるため、企業は従業員の入退社に合わせて柔軟に家具を提供可能です。代表の酒見氏が、大川で4代続く家具メーカーの跡継ぎであることも、WAAK˚の強みです。
WAAK˚は将来的に、オフィス家具を引き取って再生し、二次流通する循環型のオフィス家具を提供していく構想。アップサイクルしやすい素材や、パーツごとに分解できる構造が必要となりますが、それは現在販売中の商品でも実装済み。ゴミを出さない循環型の家具ビジネスの実現に取り組みます。
ECサイトの成長で運送量は5年間で20%増加しているものの、長時間労働・低賃金ということもあってドライバーは不足気味。平均年齢も年々高くなっています。事故が発生すれば当然保険料や労災の支払いにも影響し、中小企業の多い配送業者はそれが倒産のリスクにも繋がります。現状はAIドライブレコーダーが用意されていますが、高価格だったり過度のアラート等もあって、問題解決には至っていません。
そこでenstemが開発するのが「Nobi for Driver」。心拍データから物流ドライバーの安全運転支援サービスです。
使い方は簡単。運転前にNobi Bandを装着し1分間測定するだけで、ドライバーの体調やストレスを可視化します。アラートがあったらドライバーや運行管理者へ通知が行く仕組みで、運転前だけでなく、運転中に異常を検知し、休憩を促したりすることも可能です。
物流ドライバーの次はタクシーやバス、工場等にサービスを広げ、他業界へ、ひいてはグローバルへの展開を目指します。
本日参加の皆様からの投票で決まるオーディエンスアワードは「Nobi for Driver」が受賞しました。
次に紹介するのは、審査員特別賞を受賞したジョブディスクリプションの作成支援を行う「Job-Us」です。
現在、終身雇用・年功序列を特徴とする日本のメンバーシップ型雇用から、グローバル標準のジョブ型雇用へ移行が進んでいますが、ジョブ型雇用にはジョブディスクリプション(JD)とを呼ばれるジョブの定義書が、社内の全ポジションに必要となります。しかしこの作成は容易ではありません。
そこでしかしジョブマネジメントクラウド「Job-Us」を使えば、現場社員でも簡単に、質の高いジョブディスクリプションを作れるようになります。
Job-Usでは、最初に作りたいポジションのジョブディスクリプションを、5000以上のテンプレートから選択しカスタマイズします。これにより、単なるテキスト入力とは違って、粒度と質が揃ったジョブディスクリプションが作成可能です。
今後Job-Usには、ジョブデータがどんどん蓄積されてきます。それを活用して、組織戦略の中核を担う基幹プロダクトとして展開していく予定です。
審査員を務めたカカクコム 代表取締役社長 畑 彰之介氏は、「今日プレゼンしてくれた4社はいずれも信念があり、時代のニーズも捉えていた。その中でも特に事業に対して信念をもっていると感じたJob-Usを、審査員特別賞に選んだ」と講評しました。
そして第24期最優秀賞に選出されたのは、貸切送迎バスのマッチングプラットフォーム「busket」を運営する、ワンダートランスポートテクノロジーズ株式会社でした。
部活・スクールバス、工場での従業員送迎、商業施設のシャトルバスとして用いられている貸切バス。国内輸送人員は年間3.3億人で、これは飛行機の3倍の数値です。
しかしバスの発注は非常に大変。見積りをとって、発注者が宿や駐車場の予約をして、ドライバーとのやりとりも対応しなければならないからです。一方のバス会社も、47%という低いバスの稼働率や、案件の獲得チャネルの少なさ、シフト調整や帳票業務の非効率さが課題です。
そこで登場するのがbusket。早く・簡単に・安く、運行会社のマッチングを実行します。たった1分で見積りを実行し、行程もスムーズに作成可能。バス会社にとっても、運賃を自動で計算したり、運行書類を自動作成してくれたりと、便利なシステムとなっています。電話やFAXが不要で、オンラインだけでマッチングを完結させるのも利点です。
busketの運営を重ねることで、ワンダートランスポートテクノロジーズ社にはバスデータが溜まっていきます。そのデータ基盤を生かし、将来的にはスクールバスや、スクール利用をおさえてMaaS化していく算段です。またESGを考えても、バスの運行効率化やEV化による影響は語り知れません。今後の活躍に期待です。
審査員を務めた株式会社デジタルガレージ代表取締役の林 郁氏は「SNSやAIの応募が集中する時代もあったが、今期採択された企業が手掛ける事業はバラバラだった。その中でbusketは、社会にとってどういう意味があるのか、パーパス・ビジョンを上手く打ち出していた。今後もそれを忘れずに、社会に貢献してほしい」と、busketの受賞理由を述べました。
OnlabのDemo Dayは、Onlabの卒業生も登壇するのが特徴です。今回登壇したスタートアップはいずれも、卒業時からの進化を見せてくれました。
近年の副業の広がりによって発生しているのが「副業事故」。ひとたび発生すれば、内部不正や情報漏洩、風評被害が生じてしまいます。
そんな副業事故を事前教育、体制構築、復旧補償までカバーしてくれるのが副業制度DXサービス「フクスケ」です。副業1件には130のリスクがあると言われ、フクスケは独自のデータベースから反社、競業、承認後の警告等を実施します。また事故を100%防ぐことは難しいので、保険を使った補償も実施。大企業を中心に利用が広がっています。
薬局最大の事務作業となっているのが処方箋入力。なぜなら入力項目が40以上もある上に処方箋の書式はバラバラだからです。内容が専門的なため読解やデータの加工には専門家が必要なことも、効率化に歯止めをかけています。
そんな問題を解決するのがプレカル。薬剤師を完全サポートする遠隔入力代行サービスです。患者が薬局でタブレットを操作し、処方箋をスキャナにセット。プレカルに送信します。プレカルは受け取った処方箋をOCRをもとに必要事項を入力し、薬局にデータを送信すれば作業は完了。薬局は事務作業をせずに、処方箋のデータ入力が終了となります。
薬局には処方箋をもとにした患者のユニークな情報が貯まっているため、今後はこれらを有効活用し、事業を拡大していく予定です。
コンパクト、低価格、可動式、アプリ連携等の特徴をもつスマートナーシングルーム「mamaro」を開発するTrim社。商業施設に加えて、サービスエリアやなんと神社にまで設置されているそうです。
2021年末にはmamaroをアップデート。赤ちゃんを台に乗せるだけで、身長や体重を計測し、アプリで成長曲線をみることも可能。今後は乳幼児健診などと連携していく予定です。
今夏にはマレーシアでも設置され、他の国とも交渉中。Trimはグローバルに成長していきます。
busketの最優秀賞受賞で幕を閉じたOnlab第24期のDemo Dayですが、どの会社もまだまだこれから成長期。Onlabは今後も引き続き支えていきます。
また2022年5月6日(金) 正午まで、Onlab 第25期の参加チームを募集中です。オンラインで事業相談会も実施しています。ご興味のあるスタートアップは、ぜひサイトを覗いてみてください。
(執筆:pilot boat 納富 隼平 編集:Onlab事務局)
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