February 10, 2022 3:53 pm
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2021年のPodcast「ESG Talk ~IT企業社員が紐とくESG」では衣食住に関するニュースやスタートアップなどさまざまなテーマについてお話しました。今回は昨年お話した時点からさらにESGフードやファッションのアップデートされた内容と最新事例、スタートアップの取り組みなどを交えながらお届けします。 Podcast:2022年のフードとファッション~新しい価値観~ESG Talk ~IT企業社員が紐解くESG~ ・・・ フードテックスタートアップ・培養エビを開発するシンガポール発「Shiok Meats」 「食」に関しては、甲殻類の培養肉を開発しているアジア発のスタートアップ、大手ハンバーガーチェーンの取り組みと、「衣」ファッション業界の新しい価値観についてお伝えしていきます。人口増加や環境問題などの課題に取り組むさまざまなスタートアップが台頭し、各分野において開発が進んでいるなか、はじめにシンガポールを拠点に「培養エビ」を開発しているスタートアップ、Shiok Meats(シオック・ミーツ)を紹介していきます。培養肉というと動物性の豚や鶏を想像するかと思いますが、甲殻類のエビをプラントベースフードとして提供しています。Shiok Meats(シオック・ミーツ)は「日経アジアアワード」の第1回の受賞者で、シンガポールの食品テック企業です。エビやカニなど甲殻類の培養肉の開発をしており、食料問題に取り組まれています。甲殻類の培養肉の開発は高度な知識と高額な設備が必要とされ、参入する企業が少ないそうです。 しかし、アジア料理でエビは欠かせない食材であり、近年の海洋汚染や人口増加により、エビを中心とした甲殻類不足が問題とされております。また、エビの養殖場を作るために、大量のマングローブ林が伐採され、深刻な問題とされています。さらに、天然のエビを捕る際、その他に捕れる魚介類は廃棄されるため、多くの資源がロスとなっています。従来の企業においても、大豆などの植物由来の原料を使用し、商品として市場にはありましたが、本物の甲殻類に近い味わいに課題がありました。シオック・ミーツでは高度な生物学の知識と、技術力を駆使し、実際の魚介類に限りなく近い味や栄養素を再現できる可能性が高いとされています。 コスト面では、一般の天然エビの相場と比べると高い値が付き、1kgあたり50ドルまでコストを近づける課題がありますが、2020年9月には東洋製缶グループホールディングスから出資を受け、高い技術力に合わせ、設備投資などを行い、生産、供給の強化を図っています。2022年には商業販売を目指しており、培養エビのミンチ肉がより一般向けとなり、アジアでの持続可能な食文化の発展を今後期待されるスタートアップです。 出典:日経新聞社「日経アジアアワード」に培養エビのシオック・ミーツ 大手ハンバーガーチェーンプラスチックゴミの削減への取り組み 大手ハンバーガーチェーンの日本マクドナルドは、2022年2月から木製のカトラリーと紙製ストローの導入を横浜エリアの一部店舗で導入を開始し、その後提供店舗を増やす予定とリリースしました。プラスチックゴミの削減が世界的な課題となる背景には、2016年の世界経済フォーラムの報告書によると、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの重量が魚の量を超過すると予測されるなど、プラスチック廃棄の対応が迫られているためです。 そのため、食器、カトラリー、ストロー、風船の柄、綿棒などの使い捨てプラスチック製品や... View Article
February 1, 2022 10:00 am
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2021年最後のPodcast配信では、2021年10月31日から11月12日までに開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)についてお届けします。今回は、OpenNetworkLab(Onlab)の松田さんをゲストに迎え、質問形式でCOP26についてお話しして頂きました。今回の記事では、COP26についてわかりやすく説明し、今回の議会での決定事項や今後の課題についてお話していきます。 これまでのCOPについて COPは1995年より毎年開催され、今年で26回目となりました(2020年は、コロナの影響で延期)。目的は、上昇する地球の温度、それに伴い増えた自然災害、海面上昇などで地球と地球上の全ての生物の生存が危うくなる状態の前に、国際社会がどのような対策をとるのか、話し合うための会議です。また、地球温暖化の主な原因であるCO2などの「温室効果ガス」の排出量を、どれだけ減らせるかが根本的なカギとなっています。1997年の第3回は、日本の京都で開催され、京都議定書が締結されました。なお、今年の開催国は、英国のグラスゴーで開かれ、約200の国と地域が参加しました。2015年のCOP21で合意されたパリ協定では、以下のような点が含まれていました。 ・世界の平均気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度 ・温室効果ガスであるCO2の排出量を2030年までに10年比で45%減らすことが必要 ・すべての国は2015年以降、温室効果ガスの削減目標を5年ごとに見直す ・国連に提出しなくてはいけない 出典:The Intergovernmental Panel on Climate Change そして、2019年のCOP25では、排出削減量の計上方法について一部の新興国と先進国との間で意見が分かれ、交渉の妥結に至りませんでした。COPの議決は全会一致が原則ということもあり、取りまとめに向けては、COP26の議長国である英国のリーダーシップが問われていました。 COP26は、各国が更新した目標をもとに、世界全体の削減計画が協議される初めての場となり、大きく分けて二つの成果が求められています。一つ目は、温室効果ガスの排出削減の強化。「パリ協定」が目指す目標、つまり、世界の平均気温の上昇を「2度より充分低く保ち、1.5度に抑える努力を追求する」ことに向けて、明らかに足りていない各国の取組み強化を打ち出せるかどうかです。 二つ目は、パリ協定のルールブック議論の中で、最後まで積み残された、「市場メカニズムのルール」などの議論について結論を得ることです。合意にはすべての締約国の賛同を得ることが必要で、先進国がいかに途上国との溝を埋められるかがカギとなりました。気候変動を招いてきた先進国が率先して対策をするべきですが、それが不十分な状況で、「なぜ発展途上国側にも同じ目標が課されないといけないのか?」と不満の声が挙がりました。そのため、 先進国は途上国に対して2020年までに官民合わせて年間1000億ドルを供与することを約束しました。しかし、動員額は2019年時点で800億ドルにも達してない状況です。最終的に、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるための削減強化を各国に求める「グラスゴー気候合意」が採択され、パリ協定のルールブックも完成しました。 「COP26」の目的と今回の合意ポイント ―COPとは何を決める場で何が目的か教えてください COPとは、世界で問題となっている気候変動による地球の温暖化に対して世界中の国と地域が地球の温暖化の抑制の方法を議論する場のこと。この会議が設けられるようになり始めたのは、地球温暖化の主な原因であるCO2の排出が、国の成長と密接な関わりがあるためです。国が大きく発展し産業を盛り上げるために使用する安価なエネルギーである石炭は、CO2を大量に排出します。そして現在の先進国は、産業革命時代に石炭を燃やして産業を拡大させたおかげで、今日発展している背景があります。... View Article
January 7, 2022 4:20 pm
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『ESG Talk ~IT企業社員が紐とくESG~』 第10回から第12回までは衣食住の「住」に関するESGをテーマとし、不動産へのESG投資について、事例などを交えながらお伝えしてきました。今回は、建物が環境に与えるインパクトとそれに対する解決策、そして今の世の中の動きを、建設時の視点と建物の運用の視点でお伝えしていきます。 私たちは普段からたくさんのCO2を排出する生活を送っています。環境省のwebサイトによると、CO2排出の6割が、衣食住を中心とする「ライフスタイル」に起因してます。フードとファッションのエピソードにおいてもCO2排出量についてお伝えしてきたかと思いますが、今回は私たちの生活の基盤である「住まい」で発生する環境負荷の問題とその問題解決を担うスタートアップと未来の住まいについてお伝えします。 私たちのライフスタイルで関わる主な建築物は、住宅やオフィスが多いのではないでしょうか。実は、日本のCO2排出量のうち家庭やオフィスからの排出量は合わせて30%近くを占めているそうです。過去のエピソードで取り上げたフードとファッションのトピックでもそれぞれの業界から排出されるCO2による環境負荷が大きかったかと思いますが、今回は30%近くのCO2排出をしている、私たちの「住まい」について深堀りしていきます。 建物のCO2排出の現状について 建物の環境負荷は、施工時、管理・運用時、そして解体する際に、多くのCO2を排出します。たとえば、建設工事現場における燃料の燃焼は、 年間約1.1千CO2トンのCO2が排出されています。これらは機材や建設機械そして作業の過程から排出されていると言われており、当然ながら、人が住み始めてからもCO2は排出され続けています。日本のCO2排出量のうち、家庭部門からのCO2排出量はその16%を占めており、居住中のエネルギー消費を減らすことは、CO2削減を大きく促すと言われているのです。ちなみに家庭部門からのCO2排出の割合は、暖房が約20%、給湯が約20%、照明・家電製品が約50%を占めています。これは1世帯あたりで換算すると年間約3.4トンのCO2を排出していることになり、杉の木が1年間に吸収するCO2排出量に換算すると、約384本分になるのです。 また、私たちが自宅と同等の時間を過ごすオフィスでも多くのCO2を排出します。オフィスの排出割合は、日本だと全体の約18%。家庭と合わせると全体の約30%が私たちの住まい、または活動している場所から発生していることになります。割合をみると、その影響力の大きさがわかります。 個人や会社のサステイナブルな取り組み 今回のエピソードでは、住宅・オフィスのつくりにも注目してみました。最近注目されている取り組みのひとつが、生活のあらゆる部分で地球への悪影響を減らす持続可能(サステイナブル)な住宅・オフィスづくりというもので、施工時から環境負荷の少ない方法で建てていくことです。 このサステイナブル建築とは、設計・施工・運用の各段階を通じて、地域レベルでの生態系の収容力を維持しうる範囲内で、(1)建築のライフサイクルを通じての省エネルギー・省資源・リサイクル・有害物質排出抑制を図り、(2)その他地域の気候、伝統、文化および周辺環境と調和しつつ、(3)将来にわたって人間の生活の質を適度に維持あるいは向上させていくことができる建築物を構築することを指します。 まとめると、環境負荷のかからない素材を使い、施工を行い、メンテナンスも環境負荷のかからない素材を活用することです。 サステイナブル素材 サステイナブル建築を実行するための方法はいくつかありますが、今回はその中でもサステイナブルな建築素材の選定に着目したいと思います。実は、建築する段階からサステイナブル な建築素材を選ぶことはとても重要です。なぜなら、建物のセメントから出される温室効果ガスは、世界全体の排出量の約8%を占め、その量は航空業界と比較しても格段に高いからです。 また、建築物・建設セクターは世界のエネルギー使用量、資源消費量、温室効果ガス排出量において高い割合を占めており、米国では建物が国全体のCO2排出量の約40%を占めているとされ、問題となっています。近年注目されているサステイナブル素材は以下です。 ・バンブー 竹が最も優れたサステイナブル素材のひとつと言われ注目されている理由が、資材として成長するまでに、木は約20〜25年かかるとされていますが、竹は2~3年で栽培・収穫が可能だからです。鉄やプラスチック、コンクリートなどの伝統的な素材にも遜色ない強度もあり、近年注目されています。... View Article
December 28, 2021 8:30 pm
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これまでアクセラレータープログラムを中心に投資を行ってきたOpen Network Lab(Onlab)。2021年は姉妹プログラムのオープイノベーションの取り組みだけでなく、ファンドの組成やBS番組等、幅広い活動でスタートアップを支援してきました。 Onlab Journal 2021年最後の記事は、今年のOnlabの動きを振り返りたいと思います。 1月 DGインキュベーション設立 Onlabが2021年よりファンド投資をすることになり、そのビークルとして「DGインキュベーション」を設立しました。積極的な投資を体現する2021年の幕開けとなりました。DGインキュベーションでは、Onlabでのインキュベーション事業とファンド運営を通じて世界にチャレンジするスタートアップに投資と経営支援を行います。 ー 卒業生ピックアップニュース ー ▶ Onlab卒業生の株式会社TRiCERAが1億1,500万円の調達。 TRiCERAのサービスや起業までの経緯についてOnlab Journalでもお話を聞いています。 3月 Onlab Resi-Tech 第2期実証実験の成果を公開... View Article
December 23, 2021 5:00 pm
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2020年で10周年を迎えたシードアクセラレータープログラム「Open Network Lab(Onlab)」。その姉妹プログラムの一つが「Onlab BioHealth」です。3回目となる今回は、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」)をパートナーに迎え「Dementia(認知症)」をターゲットに、「Open Network Lab BioHealth Dementia Innovation Challenge(以下「本プログラム」)」と題して開催します。 本プログラムの特徴の一つは、①オープンイノベーションプログラムと②アクセラレータープログラムという2つのプログラムがあること。本記事で登場するのは、①オープンイノベーションプログラムを担当する、エーザイEUP部の前田さんとHX部の大桃さん、そしてデジタルガレージの小原さんです。 「単に治療するだけでなく、予防や当事者様のケア、医療機関の効率化まで幅広くパートナーを探している」という両社。3名に本プログラムについて聞きました。 ※前回のアクセラレータープログラム編の記事はこちら。 < プロフィール > エーザイ株式会社 グローバルエコシステム推進本部EUP部 部長 前田... View Article
December 23, 2021 4:00 pm
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『ESG Talk ~IT企業社員が紐とくESG~』 不動産へのESG投資について 第11回も前回に引き続き「住」をテーマに、建物のライフサイクルを通じて環境に与えるインパクトと不動産へのESG不動産投資についてお話していきます。近年欧米諸国を中心に、投資家がESGの視点から投資先を選別し、投資先に対してESGへの配慮を求める動きが拡大しています。その中でも今回のテーマである「住」に関連する不動産は、生活や経済成長を支える基盤であり、環境や社会に関する課題解決に貢献できるポテンシャルも大きく、ESG投資の重要な対象となり、注目されています。今回は、具体的に不動産分野において、どのような取り組みがESGの対象となっているのか深掘りしていきます。 不動産分野においてESGの対象になる取り組みをESGの頭文字ごとにみていきます。まず、「E(環境)」においては、住居の省エネ対策の向上と再生可能エネルギーの活用。次に「S(社会)」については、健康的に快適に暮らせるように / 災害への対応 / エリアマネジメント / 少子高齢化へ対応したデザイン。最後の「G(ガバナンス)」は環境対策などの情報開示と透明性 / ダイバーシティの実現、に関する取り組みが対象とされております。 出典:国土交通省 特に不動産投資は、短期的な価格上昇を期待する動きのみに基づくものではなく、資産が生み出す中長期的な価値を基本として行われるようになることが望ましく、人生100年時代と言われている昨今、このようなESGを意識した取り組みをしている企業に資金は集まっていきます。 次に、RPIにふれていきます。RPIとは、日本語で、責任不動産投資と訳され、英語表記の「Responsible Property Investment」の頭文字をとってRPIと言われています。2006年にコフィ・アナン国連前事務総長が提唱した「責任投資原則(PRI: Principles... View Article
December 16, 2021 10:30 am
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2020年で10周年を迎えたシードアクセラレータープログラム「Open Network Lab(Onlab)」。その姉妹プログラムの一つが「Onlab BioHealth」です。3回目となる今回は、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」)をパートナーに迎え「Dementia(認知症)」をターゲットに、「Open Network Lab BioHealth Dementia Innovation Challenge(以下「本プログラム」)」と題して開催します。 本プログラムの特徴の一つは、①オープンイノベーションプログラムと②アクセラレータープログラムという2つのプログラムがあること。本記事で登場するのは、②アクセラレータープログラムを担当するエーザイの安達さんと、デジタルガレージの田端さんです。本プログラムの特徴や、どんなドメインのスタートアップに応募してほしいのか等、詳しく聞きました。参加を検討しているスタートアップの方は是非御覧ください。 ※オープンイノベーションプログラム編の記事はこちら。 < プロフィール > エーザイ株式会社 コーポレートベンチャーインベストメント部 日本・アジア室 ディレクター 博士(生物科学)安達... View Article
December 15, 2021 10:31 am
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第7回から第9回までは衣食住の「衣」に関するESGをテーマとし、私たちが毎日着ている洋服などの製造から廃棄の過程で発生している環境問題や人権問題、アニマルウェルフェアについてお届けしてきました。今回のエピソードではは衣食住の「住」、暮らしに関するテーマでお届けします。 コロナ禍を経験したことで多くの人の暮らしが変わりました。その中でも、リモートワークをする方が増え、みなさんもおうちで過ごす時間が増えたのではないでしょうか。私たちの会社でもリモートワークを取り入れている従業員が多く、家で過ごす時間が格段に増えています。そのような状況で、暮らしやすい都市や街が重要になってきています。そんな私たちの生活基盤になっている都市や街を、持続可能に住み続けられる取り組みがSDGsの11番目の項目「住み続けられるまちづくり」です。 ・ ・ ・ SDGs目標 11「住み続けられるまちづくり」とは 「住み続けられるまちづくり」を直訳すると「インクルーシブで安全かつ持続可能なまちづくり」となります。つまりこの11番目の項目は雇用・格差・経済成長・生活インフラなど、最低限の暮らしの保証からより良い暮らしに関するための目標の中の1つです。 出典:ソフトバンクニュース また日本では近年、豪雨による水害の被害が多く、そのような災害から身を守ることも、「住み続けられるまちづくり」において、避けては通れない課題とされています。昔から、災害から身を守るために、ハザードマップがありますが、これをさらに活用できるように、災害が発生する30分前に警告がでるような取り組みもされています。 災害を防ぐためには、被災地の現調が必要となり、危険がつきものでした。その危険な状況を少しでも避けるために、ドローンで撮影し、撮影したデータをVRで確認し、直感的に視察することができます。そうするこにより、二次災害の危険性があり、立ち入りできない現地を、調査をすることが可能となります。さらに、3D技術やICT建機をつかって、作業効率も上がり、住民が安全に過ごせるように取り組みをされているそうです。 出典:ITmediaNEWS さまざまな問題を抱えるSDGs11の目標 「住み続けられるまちづくり」ですが、日本の1番の課題と言われているのが都市人口の増加です。UNの2018のデータによると1950年には30%だった世界の都市人口が2018年に55%に増え、そして2050年には68%になるというデータがあります。これは世界の人口の3分の2にあたる数値です。 現在では、世界の人口の半数以上が都市部に住んでいますが、この比率は年々高まっており、2030年には都市に住む人の割合が全人口の60%まで増えると予測されています。しかし、都市に人口が集中し、地方から都市部へ人が多く流れることで、人口が減り続け少子化が加速する“消滅可能性都市”の問題も課題としてあがっています。 総務省のデータによると東京の都市人口は2025年までに世界1位の予測とされています。また、日本の総人口の約3割が埼玉、千葉、神奈川を含む東京圏に住むようになるのではと言われています。人々が東京に暮らす多くの理由は、東京圏に仕事を求めているからです。その背景には輸入による農作物の価格の低下などによる、農村部での収入の低下などもあげられると言われています。 日本の借家の1ヶ月当たりの家賃・間代は、全国平均で55,695円ですが、東京都が81,001円と最も高く、最も低い県との違いは約2倍というデータがあります。また、1畳当たり東京都は5,128円で最も低い県との違いは2.7倍ほどになっています。そのため、東京は仕事はあが、家賃が高い都市といえます。そのほにも、日本には平均で家賃と年収が2割を超えている県が多くあり、2013年時点で、若年(30歳未満が世帯主)の借家世帯における家賃年額が年収に占める割合は34.8%になっていますが、、東京では45%と平均より上回る結果が発表されています。「可処分所得の3割」が家賃目安とよく言われているので、45%が苦しいことは明白です。 海外の大手企業のaffordable housing(アフォーダブルハウジング)に関する取り組み そんな住宅と家賃の問題に関して、アフォーダブルハウジングが海外で取り沙汰されています。アフォーダブルとは、単に家を購入したり、借りたりするだけではなく、その家で生活する余裕があることを示します。所得よりも上昇する住宅コスト、需要に追いつかない住宅供給、土地不足、人口増加、高齢化、世帯構成の変化がアフォーダブルハウジング不足の原因と言われています。アフォーダブルハウジングの定義は住宅費負担が収入のおよそ30%以下となる価格で供給される住宅のことで、UN Habitatによると世界のわずか10%ほどの都市しかアフォーダブルハウジンがないと言われています。これは地代や物価が上がってる都市が多いことも要因の1つです。所得の中央値の3倍以下が、アフォーダブルな平均住宅価格の一般的基準と考えられていますが、2018年の調査によると、調査対象となった世界200都市の90%がこの基準を超えています。 アメリカでもアフォーダブルハウジングは大きな問題となっており、解決するための施策が数多く行われています。米Google(グーグル)、米Apple(アップル)、米メタ(旧フェイスブック)、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)といった大手 IT企業が巨額の資金を投じて住宅の建設を始めており、米メタ(旧フェイスブック)では3800万ドルを4つのローカルのアフォーダブル住宅とホームレスのための住宅のプロジェクトに拠出しています。... View Article
December 13, 2021 10:00 am
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Open Network Lab(以下、Onlab)は、「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。シリーズ「Meet with Onlab grads」では、プログラムに採択され、その後も活躍を続けるOnlab卒業生たちのリアルボイスをお届けします。 今回紹介するのは「道なき“未知”を切り拓く 不整地のパイオニア」株式会社CuboRex(キューボレックス、以下「CuboRex」)です。物理的な移動負担が多いものの、各地で条件が異なるために、一定のソリューションでは課題が解決できない不整地産業。そこでCuboRexは、レゴのブロックのようにパーツを組み合わせることで、どんな不整地でも使えるようになる走行に適した製品を開発しています。不整地産業の特徴やCuboRexの開発経緯まで、代表取締役の寺嶋さんにオンラインでお話を伺いました。 ※オフィスと製造現場が合体したCuboRex社内を取材した記事は『DGLabHAUS』に掲載! 【スタートアップ ものづくり細見 Vol.1】 不整地産業の課題を「電動の足」で解決する株式会社CuboRex < プロフィール > 株式会社CuboRex 代表取締役 CEO/CTO 寺嶋 瑞仁... View Article
December 3, 2021 2:19 pm
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第7回、第8回のpodcastでは、ファッションに関するESGをテーマに、私たちが毎日着ている衣類などの製造から廃棄の過程で発生している環境問題や人権問題、アニマルウェルフェアについてお届けしてきました。環境省のサイトによると一人当たりの衣服消費は年間平均で18着購入し、12着捨て、25着は着ない衣類があるということで、ファッションのライフサイクルの短さを痛感した回でした。ほかにもファッションが、環境汚染産業第2位というのは驚きでした! 廃棄された衣類のうち日本ではわずか34%しかリサイクルやリユースにされておらず、しかもその数字は家庭から廃棄された衣類でセールで残ってしまったものや作る過程で発生した端切れなどはカウントされていいません。今回のエピソードでは『これからのファッション』についてお話します。 ・ ・ ・ 大手ブランドのサステナブルな取り組み 大手ブランドではESGの発信の仕方が重要視され、NIKEでは毎年インパクトレポートを出しています。1990年に発生した不買運動をきっかけに、ファッション業界の中でも早くからこのような取り組みをしていることでも有名です。そんなNIKEはNike Sustainableというウェブサイトも公開していて、この中ではサステイナビリティなデザイン誕生秘話、循環デザインのガイド、スポーツと環境問題についてのアスリートとの対談などが載っています。 出典:Nike Sustainable サイト内ではサステイナブルロゴも紹介され、サステナブルな素材を使って作られたアイテムにはこのロゴが使われています。消費者にとってもそのロゴを身につけることでサステナブルなものを選んでいるという主張をすることができます。英語のサイトにはアスリートとの環境についての対談やシューズをより長く使うためのコラムや、デザインの裏側も公開され、日本でもより多くのコンテンツが今後配信されていくかと思います。 今回ファッションとESGの関連性を調べる中で多く登場したのが、ステラマッカートニーでした。ステラマッカートニーでは2001年の創業以来レザー、ファー、動物由来の接着剤を使用されておらず、オーガニック素材への切り替え、PVCフリーサステナビリティ認証済みの素材を使って製造も進められています。 出典:ステラマッカートニーサステナブルページ このサステイナブルページではタイムラインでブランドのサスティナブルへのシフトの紹介や、ブランドで使用している全ての素材の紹介がされています。その中にはマッシュルームレザーがあり、2018年にはバック、そして2021年にボルトスレッド社のマッシュルームレザー「マイロ(MYLO™)」を使った世界初のウェアを発表しています。エルメスでも今年、きのこの菌糸体から作られた人工レザーをマイコワークスという企業と共同で開発を発表したという記事が出ております。この人工レザーは、強度と耐久性を高めることができます。今後ファッションブランドが他社と共同で新素材の開発競争など行われるかと思います。ハイブランドなどでも取り扱われるようになってきている新しい素材を開発してる企業は多くあり、植物性の素材を作っているスタートアップだけでも500社以上存在しています! 新しい素材 ビーガンレザーとは マッシュルームレザー ステラマッカートニーが使用しているマッシュルームレザーは菌糸体からできていて、動物を育てるには年単位かかりますが、マッシュルームレザーは日単位で製造ができるそうです。もちろん飼育にかかる水や食料より少ないもので作れるのでそういった面で環境に良いとされています。マイロ(MYLO™)では2022年にライフサイクルアセスメント発表予定で環境に対してどのようなインパクトを与えているのかも発表される予定です。マイロ(MYLO™)はもちろん100%プラスチックフリー、アニマルフリーのヴィーガンレザーになっていてステラマッカートニーの他にもadidas, Kering, lululemonでも使われています。 出典:マイロ(MYLO™)ウェブサイト 廃棄になるりんごからレザーを作る会社 デンマークの会社はBeyond... View Article
December 1, 2021 6:00 pm
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Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的にSeed Accelerator Programを2010年4月にスタートし、これまでに数々のスタートアップをサポートしてきました。今回はOnlab第23期で最優秀賞を受賞したコネクティー株式会社 代表取締役の杉原 尚輔さんです。杉原さんは新卒でドイツ証券株式会社(債券営業部)に入社し、外貨債券営業部でトップセールスとして活躍。その後、日本にもっと貢献したいという思いから2018年にコネクティー株式会社を設立し、深刻化する日本の人材不足と、在留外国人人材が日本で就業しづらい課題を解決するために、特定技能人材と日本の雇用主を繋ぐ「tokuty」を開発します。このサービスを介して日本をもっと魅力ある国にしたいと語る杉原さんに、コネクティーを起業した当時のエピソードやOnlabへ参加したきっかけなどをオンラインで伺いました。 < プロフィール > コネクティー株式会社 代表取締役 杉原 尚輔 1985年2月2日、東京都生まれ、東京育ち。2008年慶應義塾大学経済学部卒。2010年一橋公共政策大学院公共経済コース修了。 一橋公共政策大学院在学中英国ウェストンミンスター大学へ留学。一橋公共政策大学院修了後、2010年4月ドイツ証券営業本部に就職。営業として、20代で35歳以下、債券、株式営業でトップセールス、2016年上半期外貨債券営業部トップセールスになる。 2014年5月、以前より問題意識のあった英語教育事業で起業、ファンデミーキッズを設立。2016年7月より独立、2018年8月より現職。 外国人特定技能人材が増加傾向にあっても日本の雇用主がリーチできない理由 ― 特定技能人材と日本の雇用主を繋ぐ「tokuty」とは、どのような課題を解決するサービスなのでしょうか? 「tokuty」は特定技能人材と、特定技能人材を採用したいを企業を繋ぐマッチングプラットフォームです。「特定技能」とは2019年4月に新設された在留資格です。人材不足が深刻な製造業や介護、サービス業といった14分野で働くことができるビザで、一定の専門性・技能を持ち即戦力となる外国人特定技能人材が積極的に雇用されています。日本では、少子高齢化が進んで2030年には625万人もの人材が不足すると言われる中、特定技能を持つ外国人人材の受け入れが年々増加し、この1年間だけでも特定技能人材は7倍に伸びています。しかし、日本の雇用主が彼らを採用したくても全人材の0.4%にしかリーチできないため、わずかな選択肢の中からしか選べていません。 ―... View Article
October 29, 2021 5:00 pm
Published by akane-arai
Open Network Lab(以下、Onlab)は、「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。シリーズ「Road to Success Onlab grads」では、プログラムに採択され、その後も活躍を続けるOnlab卒業生たちのリアルボイスをお届けします。今回紹介するのは、バーチャルオフィスをはじめ様々な用途で利用される「oVice」のジョン・セーヒョンさんです。連続起業家であるジョンさんは、コロナ禍に閉じ込められたチュニジアで、リモートワークの不便さを実感。この課題を解決するためにoViceを創業しました。 バーチャルオフィスサービスとしては、既に日本だけでなく世界でも存在感を出しているoViceですが、その秘訣はユーザーが主体的に使うようなサービス設計にありそうです。リモートワークの課題、他社サービスとの差別化、oViceのサービス設計。ジョンさんに詳しく聞きました。 < プロフィール > oVice株式会社 代表取締役 ジョン・セーヒョン 1991年生まれ、中学・高校とオーストラリアに留学後、韓国に帰国し、貿易仲介事業を起こす。2020年新たな技術を創造するための株式会社NIMARU TECHNOLOGY(現 oVice株式会社)を設立。コロナによってアフリカで足止めされたことをきっかけにoViceの開発を始めた。 大企業のユーザーが多く、使い方も様々 ― oViceの特徴や使い方について詳しく教えてください。... View Article