Categories for Journal

20歳の起業家が挑むのは、ワンフレーズで楽しめるカラオケバトルサービス「カラバト」|Meet with Onlab grads vol.8

20歳の起業家が挑むのは、ワンフレーズで楽しめるカラオケバトルサービス「カラバト」|Meet with Onlab grads vol.8

August 12, 2020 5:00 pm Published by

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Program を2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしてきました。 今回取り上げるのは、Onlab第18期に参加した株式会社aboon。ワンフレーズでバトルのできるアプリ「カラバト」を提供するスタートアップです。これまでのカラオケアプリでは、1曲をフルで歌うサービスが多く、カラオケが好きなのに歌い終わった後に疲れてしまうし、満足できる動画を作るのに何度も撮り直して時間がかかってしまう。もっと気軽に歌を楽しめるサービスを作ろうと、サビだけを切り抜いて歌えるコンテンツを生み出しました。 そんなカラバトがOnlabに参加したきっかけやプログラムから得られた経験等を、CEOの清原 三雅さんにオンラインでインタビューしました。 歌が苦手でも楽しめる「ワンフレーズ × カラオケ × バトル」 ― カラバトのサービス内容をお教えください。 カラバトはワンフレーズで歌えるカラオケバトルアプリです。自分の好きな曲や流行っている曲のワンフレーズを歌って投稿して、ユーザーの審査制で勝敗が決まる仕様になっています。通常のカラオケアプリでは、ユーザーが1曲フルで歌わないと評価されませんが、それでは疲れるし、納得するものができるまで何度も歌い直すと時間がかかって面倒ですよね。だったらワンフレーズやサビの15秒だけで、誰でも気軽に楽しめるようにしたいと考えて、カラバトを作りました。また、日本人は紅白歌合戦などテレビ番組を通じて「カラオケバトル」に慣れているので対戦型にしています。 ― 現在、カラバトのユーザーはどのくらいいらっしゃるんですか? アプリダウンロード数は2020年6月時点で1万件を超えています。年齢層で最も多いのは10代〜20代前半ですが、小学生から40代まで幅広く分散していますね。現在、カラバトでは、ユーザーが独自で「サシバト」というサシでバトルする遊び方を作って、友達や家族と歌いながら競い合っています。ルールは簡単で、1日50曲に設定して、勝利数が多い方が勝ち。負けた方は「LINEのユーザー名を面白いものに変える」といった罰ゲームをしたりして。私自身はユーザーが単独で歌って遊ぶアプリとしてプロダクトを作ったので、ユーザーがおのおのでコミュニティを作って、新しい楽しみ方や面白さに昇華していってくれてびっくりしています。... View Article

eギフトを文化に!Onlab 1期生がIPOまでの10年を振り返る|Road to Success Onlab grads vol.5

eギフトを文化に!Onlab 1期生がIPOまでの10年を振り返る|Road to Success Onlab grads vol.5

August 5, 2020 2:00 pm Published by

「ギフトで、『人と人』『人と企業』『人とまち』をつないでいく。」をミッションに、eギフト文化の創造を目指す株式会社ギフティ(以下、ギフティ)。 2010年の設立以来、メールやLINEなどで気軽にeギフトを贈ることができるサービス「giftee」を皮切りに、法人向けサービスの「giftee for Business」、eギフト発行システム「eGift System」、地域活性化プラットフォーム「Welcome Stamp!」などを次々にローンチし、個人・法人・自治体を横断する「eギフトプラットフォーム事業」を展開しています。 2019年9月には東京証券取引所マザーズへのIPOを達成。サービスの海外展開もスタートし、成長著しい企業として国内外から注目を集めています。 ギフティのこれまでを振り返って「『このプロダクトになら全てを懸けてもいい』と確信できる事業だけをしてきた」と語るのは、創業メンバーであり代表取締役の太田睦氏。「Open Network Lab(Onlab)」の第1期生でもある太田氏に、同社の10年の歩みと、いま見据えているビジョンについて伺いました。 CtoCからBtoCに進出-事業モデルの転換点 ギフティは設立以来、eギフトを事業ドメインとして拡大し、現在の「eギフトプラットフォーム事業」を確立するに至りました。その出発点はCtoCサービス「giftee」です。 「giftee」は、メッセージカードを添えたeギフトを、メールやLINEなどで贈れるサービス。コンセプトの「日頃のちいさな”ありがとう”を贈ろう」の通り、友人・知人同士で少額のプレゼントを贈りあうために考案されました。 2010年の創業以後、着実に存在感を増し、2011年には大手競合他社とのコンペを勝ち抜いて、スターバックスコーヒージャパンへのシステム導入を実現させます。 順風満帆ともいえるスタートを切ったギフティ。しかし、その後事業は停滞を迎え、成長が頭打ちになる時期もあったと言います。課題となったのは「コンテンツの不足」でした。「giftee」はビジネスモデル上ユーザー獲得のために、コンテンツとなるeギフトの種類を充実させる必要があります。しかしコンテンツを充実させるためには導入企業を増加させなければならず、他方で導入企業を増加させるためにはその説得材料となる豊富なユーザー数が求められます。つまり、「コンテンツの不足」に起因するジレンマに陥り、事業成長に歯止めがかかっていたのです。 こうした課題を解決するため、ギフティはCtoCからBtoCの事業モデルにも進出を果たします。2014年、企業がオリジナルのeギフトを生成して販売できるeギフトSaaS「eGift System」をローンチ。さらに2016年には、法人向けにeギフトを販売する「giftee for Business」をローンチし、コンテンツの充実とユーザーの獲得を相互に実現できる、プラットフォーム型の事業モデルに取り組むことになります。 設立以来貫いてきた方針の転換。そこには苦悩もあったと言います。特に太田氏の頭を悩ませたのは、社員とのコミュニケーションでした。「eギフト文化の創造」を信念にCtoCの事業モデルに取り組んできたギフティ。それを拡大しBtoCの事業モデルに進出することに、社内では戸惑いが広がっていました。... View Article

「諦めないことが大事」SmartHR宮田昇始がスタートアップに語るメッセージ|Road to Success Onlab grads vol.4

「諦めないことが大事」SmartHR宮田昇始がスタートアップに語るメッセージ|Road to Success Onlab grads vol.4

July 31, 2020 2:00 pm Published by

Onlab第10期の卒業生である株式会社SmartHRは、人事労務業務を効率化する労務管理クラウドサービスでシェアNo.1の「SmartHR」を提供しています。当時は「労務手続きができる」サービスとしてスタートしましたが、現在では、社員名簿や人事データの可視化といった、従業員が手続きするたびに更新される人事データを活用できるような機能開発も進めています。IT業界を中心に広がったSmartHRですが、最近は飲食や小売り等、規模や業種問わず2万社以上の企業が登録しています。珍しいところだと医療業界や学校法人でも使われているそうです。 プロダクトの素晴らしさはさる事ながら、組織的で積極的な情報発信や、リモートワークの時、機を得た広告、大型の資金調達等でも話題を集めるSmartHR。しかし代表の宮田さんが「Onlabに入ってSmartHRに行き着くまでに、11回ピボットした」と語るように、その立ち上げは必ずしも順調とは言えませんでした。 今回のRoad to Success Onlab gradsでは宮田さんに、Onlabで経験した出来事や、卒業生として後輩に対するアドバイスを伺いました。 < プロフィール > 株式会社SmartHR 代表取締役・CEO 宮田 昇始 大学卒業後、Webディレクターとしてキャリアをスタート。BtoBや、医療系を中心にWebサイトや、アプリケーションのディレクションを複数の企業で担当。 2012年、10万人に1人と言われる疾患を発症。完治の見込みは20%と宣告を受けるも、闘病期間中に傷病手当金(社会保険の一つ)を受給できたおかげで、リハビリに専念し無事完治。社会保険のありがたみを身をもって感じる。その後、2013年に株式会社KUFU(現株式会社SmartHR)を創業。自身の闘病経験をもとにした、SmartHRを発案。2015年1月にシードアクセラレーターである Open Network Lab に第10期生として採択される。... View Article

Onlabの組織力でサポートしたIoTベビーケアルームの魅力|Trim-mamro|Road to Success Onlab grads vol.3

Onlabの組織力でサポートしたIoTベビーケアルームの魅力|Trim-mamro|Road to Success Onlab grads vol.3

July 17, 2020 1:00 pm Published by

2016年Onlab第12期の卒業生である、Trim株式会社(以下「Trim」)。在籍時から授乳室やおむつ交換台をすぐに探せる検索アプリ「Baby Map」を展開しています。 卒業後の2017年7月には、設置型のベビーケアルーム「mamaro」の製造を開始。商業施設やレジャー施設、医療機関をはじめとした各種施設への設置を進め、いまや重要な社会課題のひとつである、子育て支援の推進に力を注いできました。 2020年5月には、大日本印刷株式会社(以下「DNP」)とTrimの資本業務提携を発表。mamaroの販売拡大やサービス改善をさらに推進し、子育て世代の豊かな生活体験の創出に向けて、ますます事業成長を加速させています。 しかし、そうした順風満帆にも見える躍進の陰には、人知れぬ苦労がありました。「起業してから現在までは、苦労の連続でした」と語るのは、Trim代表の長谷川裕介さん。これまでTrimは、何度も経営の危機に瀕しており、その度に周囲の支えを糧に壁を乗り越えてきたのだといいます。そしてOnlab卒業生の支援チーム「Incubation Team」も、そんなTrimを支えた一員でした。 そこで今回は長谷川さんと、Onlab担当の松田信之、原大介の3名で、TrimのOnlab卒業後の約半年にわたる軌跡を振り返る対談を実施し、そのきっかけから、実際の取り組みや支援の先に見えてきたTrimの新たな展望までを語り合っていただきました。(起業から「mamaro」製造までのストーリーはこちら) 難航していた資金調達を見事クリア。キーポイントは「SDGs」 ― Trimは2016年にOnlabを卒業した後も、Onlab Incubation Teamの支援を受け、事業成長にさらに勢いを増しています。支援のきっかけは何だったのでしょうか。 長谷川(Trim):Onlab卒業後はBaby Mapの運営だけでなく、2017年にmamaroをリリース。2019年5月にはmamaroの設置数が全国累計100台を超えるなど、着実に事業の拡大や多角化を進めていました。 ですが、その規模を維持したまま事業を継続するには、さらなる資金調達が必要になり、その件を相談したのがきっかけですね。 Trimの長谷川さん 松田(Onlab):2019年10月のことです。ちょうどその頃にOnlab内に新しくIncubation Teamが組成されて、卒業生たちと面談を重ねている時期でした。 原(Onlab):長谷川さんとの面談のことはよく覚えています。1時間の面談のうち、55分はずっとTrimの事業が好調だという話をされていたので、「なんで相談しに来たんだろう?」と不思議に思っていました。そしたら、最後の5分間で「ところで、資金調達したいんですが…」と切り出すので「これが目的か!」と(笑)。それで後日、改めて面談をして、資金調達に向けて動き出すことになりました。 長谷川(Trim):正直なところかなり切羽詰まっていたので、前向きに話を聞いてくださったのは本当に助かりました。... View Article

授乳室を検索するだけでなく提供する企業へ、ユーザー視点で生まれたベビーケアルーム│Trim-mamaro

授乳室を検索するだけでなく提供する企業へ、ユーザー視点で生まれたベビーケアルーム│Trim-mamaro|Meet with Onlab grads vol.7

July 10, 2020 5:00 pm Published by

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的にSeed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしています。 その一つが、2020年6月に報じられた大日本印刷とTrimの資本業務提携のニュースです。Onlab12期卒業生であり、卒業後もOnlabネットワークを活用した事業展開や資金調達に成功するTrim(トリム)は、いわばOnlab卒業生のモデルケースとも言えます。 Trimはベビーケアルーム(授乳やおむつ替えを行えるスペース)に焦点をあてた事業を主軸とする子育てIT企業です。授乳室やおむつ交換台を検索するアプリ『baby map』から事業を展開し、現在は移動可能な完全個室仕様のベビーケアルーム『mamaro』を全国へと届けています。 Trimの代表取締役社長 長谷川 裕介さんに、起業のきっかけや事業内容についてオンライン・インタビューしました。 授乳室検索アプリを残すために人生初の起業に挑戦 広告代理店でクリエイティブディレクター、プランナーなどのキャリアを経て、母の他界をきっかけに医療系ベンチャー企業へと転職した長谷川さん。転職先で運営したのが、『べビ★マ』という名称でローンチされた、授乳室とおむつ交換台の検索アプリでした。しかし、『べビ★マ』はサービスを終了することに。長谷川さんのTrim創業は、この検索アプリを継続したいという想いから始まりました。 長谷川:『ベビ★マ』はユーザーの投稿情報による、授乳室とおむつ交換台の場所を調べるアプリです。コンテンツはCGMで作られるので、全国の親御さんの善意が、未来の家族へと受け継がれていきます。善意の輪を広げ、子どもたちや家族を支えるサービスの重要性を感じていたからこそ、サービス廃止は何としても避けたかったんです。 廃止を受けて売却先を探していたのですが見つからず、ダブルワークを禁止している会社だったので、個人としてその事業を続けることもできなかった。結局、私自身がサービスを買い取って起業することを決意しました。 Trim株式会社 代表取締役 長谷川 裕介 しかし、生まれて初めての起業は決して容易なものではありません。資本金30万円でスタートしたTrimを終始悩ませていたのは、資金不足と経営者としての基礎力です。... View Article

【不正を未然に防ぐ】スタートアップのお金にまつわる6つの対応策とは

【不正を未然に防ぐ】スタートアップのお金にまつわる6つの対応策とは

June 18, 2020 6:00 pm Published by

【プロフィール】 Open Network Lab 原 大介 2005年慶応大学卒業、公認会計士試験合格。2007年より新日本有限責任監査法人勤務。金融業や製造業等の様々な業務の監査に従事。2012年より2年間、アメリカ・シリコンバレーに出向、現地でアメリカ企業の上場を支援(3社)。2015年より、不動産ビッグデータを利用したコンサルティング会社・ゴミを原料としたケミカルリサイクルを営む会社でCFO。エクイティのみならず、デッドや助成金等の様々な資金調達手法に精通。現在までの累積調達額は110億円超。2019年11月よりDG参画。 はじめまして、Open Network Lab(Onlab)の原です。Onlabでは定期的にスタートアップの皆さんに役立つノウハウやトレンドを発信しています。私は前職でのケミカルリサイクル企業でのCFO経験を生かし、現在はOnlab卒業生インキュベーションチームのファイナンス支援を担当しています。 今回は、先日のスタートアップ界隈に衝撃が走ったあるニュースをきっかけに、資金調達をしたばかりで内部統制や社内ルールを構築していないスタートアップが、どのように内部不正に向き合いどう防ぐべきか、その対応方法について書いてみたいと思います。 東大発ベンチャーエルピクセルの横領事件 2020年6月10日の早朝、寝ぼけまなこで携帯を見ているとびっくりするようなニュースが飛び込んできました。エルピクセルの元取締役が、会社の資金を横領し、逮捕されたというのです。エルピクセルは人工知能を活用した医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」というプロダクトを持つ医療系画像認識・診断の会社で、スタートアップ業界では知らない人がいないくらいの有名な企業です。当該横領事件は、エルピクセル元取締役が会社の口座から複数回にわたり、自身の口座におよそ29億を送金・横領した疑いで逮捕されました。この取締役は当時、経理担当者として会社の資金を1人で管理しており、着服した金の大半を FX 取引に充てていたと報道されています。 まず、このような事件をきっかけにスタートアップの皆さんに内部管理について注意を促そうとすると、多くの企業から言われるのが「うちはしっかりしているから大丈夫」「資金を扱えるのは自分しかいない、もしくは信頼できる少数の人間だけが扱える」という回答です。実はこの考え方は非常に危険です。 不正は誰にでも起こりうる「不正のトライアングル」とは 何故ならば、人というのは環境によって変わり、さらに弱い生き物だからです。Onlab卒業生でもあるSmartHR宮田さんは、「人は弱い人間である」を前提に利害を一致させるための組織づくりに取り組んでいるそうです。不正しないように頑張るとか、信頼できる人を採用するといったことではなく、誰にでも起こりうることとして捉え、その原因を潰すために継続した仕組みを作るのです。 皆さんは「不正のトライアングル」という話をご存知でしょうか?米国の犯罪学者 ドナルド・R・クレッシー(Donald... View Article

子どもを支える小児科・産婦人科オンラインは、利用者と医療機関の架け橋に|Road to Success Onlab grads vol.2

子どもを支える小児科・産婦人科オンラインは、利用者と医療機関の架け橋に|Road to Success Onlab grads vol.2

June 11, 2020 2:00 pm Published by

2020年に入り猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、テレワーク導入のきっかけとなり、その結果オンラインのコミュニケーションが広がってきました。医療業界ではそれに先駆けて、2016年からオンラインで医療相談できるサービスを提供する企業があります。その企業こそOnlabの第12期に参加していた株式会社Kids Publicです。 2016年に「小児科オンライン」、2018年に「産婦人科オンライン」をリリースしてから現在に至るまでの軌跡や今後の展望を、Kids Public代表の橋本さんに伺いました。 株式会社Kids Public 代表取締役 小児科医 橋本直也 オンラインでリアルタイムに医療相談 出産や育児の際にふと浮かぶ健康の不安。「こんなこと相談してもいいのかな?」「こんな症状が出ているけど病院を受診した方がいいのかな?」等、病院に行くこと自体が難しかったり、わざわざ病院に行ってまで相談する内容なのか判断できない、妊産婦さんや⼦どもたちは社会ストレスの影響を受けやすい存在です。 このような不安を解消してくれるサービスが「小児科オンライン」「産婦人科オンライン」です。前者は小児科医、後者は産婦人科医や助産師に、電話やLINE(動画・音声通話やチャット)というオンラインのツールを使って、リアルタイムで医療相談できるサービスです。 相談できる時間帯は平日18時から22時。事前に相談したい時間帯の予約をサイト上から申し込み、時間になったら現役の医師や助産師に医療相談をするだけです。小児科・産婦人科オンラインを使えば、わざわざ病院に足を運ばなくても、気軽に専門家に相談できます。 Kids Publicの代表であり医師でもある橋本さんが小児科オンラインを作ったきっかけは、自身が小児科医として働いていた経験から、親の不安が消えない実情を感じていたことでした。 親が子どもの健康を不安に思う気持ちは当然です。しかし実際に救急外来に来た子どものうちの約90%は、実際には救急外来に来るほどの状況ではないと、橋本さんは語ります。いきなり救急外来にかかるのではなくオンラインで医療相談できれば、子どもや親はもちろん、医療現場の負担も軽減できる。そう思いついた橋本さんは、小児科オンラインの開発に着手。子どもを生む前からのサポートも担うため、次いで産婦人科オンラインを開設しました。妊娠前から出産までは産婦人科オンラインで、出産後は小児科オンラインで子どもの相談ができる仕組みを作り上げたのです。 厚生労働省も2018年にオンライン診療のガイドラインを初めて策定するなど、オンラインの活用に力を入れ始めました。経済産業省は遠隔で医師に無料で相談できる健康相談窓口(遠隔健康相談事業)の運用を開始。この事業には小児科・産婦人科オンラインのほかメドピアグループの「first call」や「LINEヘルスケア」が採択されています。 オンラインで医療相談を受けるというサービスは複数ありますが、他社の多くは専門を設けていない、つまりどんな相談でも受け付けています。翻ってKids Publicの専門は「子どもと、子どもに関わる大人」、つまり小児科と産婦人科です。その理由は社名に込められていました。... View Article

「薬剤師起業家」をサポートする二人三脚の事業成長|プレカル-precal|Road to Success Onlab grads vol.1

「薬剤師起業家」をサポートする二人三脚の事業成長|プレカル-precal|Road to Success Onlab grads vol.1

May 27, 2020 3:00 pm Published by

2019年7月から約3ヵ月間に渡って開催されたOnlab第19期に参加し、同年10月に行われたデモデイで、会場の参加者が選ぶ「オーディエンス賞」に選出された株式会社プレカル(以下「プレカル」)。 プレカルが運営しているprecal(プレカル)は、薬局最大の事務作業である「処方箋入力」を効率化するサービスです。薬剤師による手作業で行われている処方箋入力を代行し、薬局の負担軽減に貢献します。プレカルの代表である大須賀義揮さんは、薬局や大学病院での勤務経験を持つ薬剤師。自身の経験からprecalのサービスを構想し、事業化に結びつけました。 今回は大須賀さんと、Onlabの佐藤直紀、松田信之の3名で、プログラム当時を振り返る対談を実施。薬剤師から起業家を目指すに至った経緯から、Onlabのプログラムにおける試行錯誤、そしてプログラム後のOnlabとの関わりや現在の事業について語り合っていただきました。(大須賀さんの起業のきっかけについてはこちらから) ※以下「プレカル」は会社、「precal」はサービスを表すものとします。 ピボットは7回…苦悩の末に辿り着いたアイデア ― 大須賀さんがOnlabに参加するまでの経緯を教えてください。 大須賀(プレカル):僕はもともと薬剤師なので、ドラッグストアに勤務したり、薬局を経営したりして、一般の方はなかなか知らない薬剤業界の課題に直に触れていました。そのなかで、とある課題を解決する事業アイデアを思い付いたので、チームを編成して、事業化に動き出すことになりました。 ただ一方で、チーム内に営業経験者が一人もいないとか、ビジネスサイドへの知見が乏しいという弱点があったので、その点を補うためにOnlabに応募しようと思いました。 プレカル大須賀さんとOnlab佐藤、松田 ― そのときに構想していた事業アイデアが、現在のprecalですか? 大須賀(プレカル):いいえ、全く別のアイデアですね。当時、構想していたのはBtoCの「薬の料金比較サービス」のようなものでした。あまり知られていないんですが、実は同じ薬を処方してもらうにも、数百円の差なんですが、薬局ごとに料金が異なるんです。ユーザーは病院で処方してもらった処方箋を薬の価格が安い薬局に持っていく、ユーザーが薬局ごとに比較できるサービスを作ろうと考えていました。かなりの自信でOnlabの面談に望んだ記憶があります…(笑)。 ― その時の様子や当初のアイデアの印象って覚えていますか? 佐藤(Onlab):はい。面談をさせていただいて最初に事業アイデアを聞いた時は正直…ちょっと厳しいと思いました。チームメンバーの意気込みがすごかったのは覚えています。 松田(Onlab):薬の値段が違うというユニークインサイトはあったのですが、「あったらいいな」とは思うけど、事業化するほどではないかなと。値段の差も少額なわけだし。 大須賀(プレカル):はい。そのアイデアはOnlab参加後、すぐにピボットすることになりました。たしかスタートから2、3日後だったと思います。正直、内心では自信満々だったので結構落ち込みましたね(笑) ただピボットをすぐに決意できたのも、メンターから的確なフィードバックがあったからなんですよ。プログラムの初日に「スピードメンタリング」といってメンターの一人ひとりに事業アイデアを説明してフィードバックをもらうんです。 当初の「薬の料金比較サービス」では、薬局側から収益を得るビジネスモデルを想定していたんですが、とあるメンターに「値段を安くしている薬局から、さらにお金を取れるの?」と指摘されて、これは致命的な欠陥があるビジネスだと気付かされました。... View Article

業界を知るからこそ取り組める「薬局最大の事務作業」からの解放|プレカル-precal|Meet with Onlab grads vol.6

業界を知るからこそ取り組める「薬局最大の事務作業」からの解放|プレカル-precal|Meet with Onlab grads vol.6

May 20, 2020 7:00 pm Published by

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしています。 そんな中、2019年7月から約3ヵ月間に渡って開催されたOnlab第19期に参加し、同年10月に行われたデモデイで、会場の参加者が選ぶ「オーディエンス賞」に選出されたのが、株式会社プレカル(以下「プレカル」)です。 プレカルが運営しているprecal(プレカル)は、薬局最大の事務作業である「処方箋入力」を効率化するサービスです。薬剤師による手作業で行われている処方箋入力を代行し、薬局事務業務の負担を軽減します。プレカルの代表である大須賀 善揮さんは、薬局や大学病院での勤務経験を持つ薬剤師。自身の経験からprecalのサービスを構想し、事業化に結びつけています。 起業のきっかけやプレカルのサービス内容や課題の詳細、今後の展開について、プレカル代表取締役の大須賀 善揮さんにオンラインでインタビューしました。 ※以下「プレカル」は会社、「precal」はサービスを表すものとします。 プログラミングやシステム開発を手がける薬剤師 OnlabのDemoDayでピッチする大須賀さん ― 大須賀さんの経歴について教えて下さい。 大須賀:私は大学を卒業後に薬局に勤務してました。大学病院やドラッグストアで薬剤師として働く傍らもともと趣味でやっていたプログラミング開発を活かして、薬局内のシステム開発などを担当していました。これは今となっては貴重な経験だったのですが、たまたまそのチェーン薬局にシス テムに詳しい人がいなかったこともあって、自分がそのシステム設計をさせていただいていたんです。その後友人と起業して薬局を経営していた時も、薬局内のWebシステムは自分たちで作りながら薬局運営をしていました。 ― その中でどのようにプレカルの課題をみつけたのでしょうか? 大須賀:実はOnlabに応募した当時は、現在のprecalとは別のサービスを考えていました。toC向けのサービスで、薬局って同じ薬の処方してもらったとしても薬局毎に値段が異なるのですが、その値段の差を比較して提供するサービスを考えていました。ただ、その課題はユーザーにとってナイストゥーハブ(あったらいいサービス)であってペインではなく、ビジネスとしても誰がお金を払うのかが成立しないと気づいたのです。その後Onlabでメンタリングを受けていくうちにより深い課題を発見し、現サービスへとピボットに至りました。... View Article

スタートアップの意思決定―煩雑なペット保険申請をラクにするサービス「アニポス」がOnlab同期から学んだこと|Meet with Onlab grads vol.5

スタートアップの意思決定―煩雑なペット保険申請をラクにするサービス「アニポス」がOnlab同期から学んだこと|Meet with Onlab grads vol.5

May 14, 2020 2:00 pm Published by

Open Network Lab(以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしてきました。 今回取り上げるのは、Onlab第20期に参加した株式会社アニポス。アニポスはペット飼い主向けにペット保険申請を簡略化するサービスを提供するスタートアップです。申請では書類が多かったり、手続きが複雑だったりとペットの飼い主さんを悩ませてきましたが、独自の動物医療特化のAI-OCRを活かして申請を分かりやすく簡単にすることで、飼い主さんたちが安心して動物医療を受けられる仕組みづくりに挑戦しています。 アニポスがOnlabに参加したきっかけやプログラムから得られた経験等を、CEOで獣医師の大川拓洋さんにオンラインでインタビューしました。 株式会社アニポス CEO 獣医師 大川拓洋 獣医師の現場で気づいた、ペット保険の「不便」を解決する ― アニポスについてお教えください。 アニポスはペット保険にまつわる「不便」を解決するサービスを提供しています。ペットの飼い主さんである保険利用者がペットの医療費を保険会社へ申請するのに手続きが複雑だったり、保険の使い方を理解していなかったり、ペット保険に加入しているにも関わらず、利用していないという実態がありました。一方、保険会社では利用者から上がってきた明細書の精算などの事務手続きが未だにアナログで手間や時間がかかっている課題があります。 こういった課題に対して、飼い主さんがラクに保険金を申請できるようになるスマホアプリや、ペット保険会社が精算業務をペーパーレス化して効率的に遂行できるようになるシステムを提供していきたいと考えています。2020年4月現在、当社はペット保険各社と提携しながらサービスの正式リリースに向けて動いています。 ― アニポスを立ち上げたきっかけを教えてください。 私はもともと地元の広島で獣医師として動物病院を経営する会社を立ち上げて、そこでは獣医師として働いていました。ある時、ペットの飼い主さんが診察後にお会計をする際に「そういえば私、ペット保険会社に入っていたんだっけ…」と、ポツリとつぶやいたんです。ペット保険にいつの間にか加入しているけれど、仕組みがよく分からないから申請が億劫だし、ペット保険対象は保険会社によってバラバラだし、もらえる金額も大したことがなかったし、と。他の飼い主さんにも話を聞いてみると、来院される飼い主さんたちの3割が同じような悩みを抱えていたので「これは何とかして解決しなければ」と、ペット保険に特化した事業を立ち上げる決意をしました。 アニポス社創業メンバーとオフィス移転当時(2020年2月)... View Article

徹底的な課題整理の先にあるもの。副業管理サービス「フクスケ」がOnlabで乗り越えた壁|Meet with Onlab grads vol.4

徹底的な課題整理の先にあるもの。副業管理サービス「フクスケ」がOnlabで乗り越えた壁|Meet with Onlab grads vol.4

April 30, 2020 5:00 pm Published by

Open Network Lab (以下、Onlab)は「世界に通用するスタートアップの育成」を目的に、Seed Accelerator Programを2010年4月にスタートしました。2020年で10周年となるOnlabは、今までに数々のスタートアップをサポートしてきました。 今回取り上げるのは、Onlab第20期に参加した株式会社フクスケ。増加しつつある副業者や副業者を雇用している企業を守る、クラウド型副業制度構築サービス「フクスケ」を提供しています。 副業に関する社会的背景や起業したきっかけにも触れつつ、フクスケがOnlabに参加した理由やプログラムから得られた経験等を、代表取締役の小林大介さんに語ってもらいました。 株式会社フクスケ 代表取締役 小林 大介 副業管理を助けトラブルを防止 ― フクスケのサービスについて教えてください。 フクスケは従業員の副業を適切に管理し、トラブルを未然に防止するための副業管理サービスです。副業セキュリティ研修による情報セキュリティ教育や倫理教育、利益相反を判断するためのガイドライン作成、従業員の取り組む副業に潜むリスクチェックなどの機能を提供しています。 ― 2018年が「副業解禁元年」だと聞きました。具体的にどのような変化があったのですか? 2018年1月の厚生労働省による「モデル就業規則」改訂をきっかけに、副業を解禁する企業が増加しました。しかし従業員の副業が把握できないことを恐れ、厳しい副業禁止状態を続けている企業も多く、それに伴い勤務先に伏せて副業をする「伏業」も増えているのです。 伏業の結果、知らないうちに企業機密の漏洩や本業への利益相反、反社会勢力との癒着などの潜在リスクが拡大してしまい、企業・従業員ともに不利益を被ってしまう可能性があります。こうした課題を解決するため、フクスケをリリースしました。... View Article

Onlab HOKKAIDO Real Voice #3-VETELL

Onlab HOKKAIDO Real Voice #3-VETELL

April 16, 2020 12:00 pm Published by

※ Onlab HOKKAIDO D2Garageの記事より転載 ※ (株)D2 Garageでは、「北海道から世界へ羽ばたくスタートアップの発掘・育成」をミッションに、2018年からOpen Network Lab HOKKAIDO(通称 Onlab HOKKAIDO・オンラボ北海道)を運営しています。 北海道・札幌を拠点とするOnlab HOKKAIDOは、シードステージのスタートアップを育成・支援する約3ヶ月間のアクセラレータープログラムです。活動資金やオフィススペースの提供と共に、事業内容のブラッシュアップを目的としたコンテンツや各分野のスペシャリストによるメンタリングを通じて、スタートアップの事業加速のサポートをしています。これまで2期10社のご支援をして参りました。 このブログでは、プログラムをより知っていただくため、2019年に実施したOnlab HOKKAIDO 第2期に参加いただいた(株)VETELL代表取締役池田哲平さんによるリアルな声をお届けします! (株)VETELL代表取締役 池田哲平さん <... View Article