Onlab HokkaidoApplication Deadline 2025.05.08
2012年04月09日
4月4日、世界的に有名なデザインコンサルタント会社「IDEO」の元ディレクターElle Luna氏と、Michelle BranchやRod Stewart等、数多くの有名音楽アーティストが活用している「ONESheet」の創業者Brenden Mulligan氏をお招きし、Open Network Labでトークセッションを開催しました。
今回のテーマはスタートアップ戦略「Startup Strategy」。Elleは、デザイナーの視点からスタートアップを考える方法のディスカッションを行い、Brendenは計るべき数値、収集するべき情報など、サービスローンチ後の戦略についてディスカッションを行いました。
Brenden Mulligan – ローンチ後の戦略
ローンチの際に、サービスを継続的に成長させるための『5つのアクション』を、Brenden自身が手がけたサービス、
PhotoPile、MorningPics、ONESheet、Tiplistなどの事例とともに解説を行いました。
それぞれのサービスの概要は以下の通りです。
1.目標設定
ローンチの際に、『なぜこのサービスをローンチするのか』を自分に問いかけ、『どれくらいの規模のユーザーが、○万回アップロードするプラットフォームを作る。』というように、ローンチの目的、目標を具体的かつシンプルに設定にすること。
2.適切なKPIの設定
目標達成に向けた『3~5個』ほどのKPIを設定する。何十個ものKPIは必要なく、KPIはすべて数値化できるもので、グラフ化できるものにすること。Brenden自身が、サービスをローンチする際に掲げたそれぞれの目標とKPIは下記の通りです。
■目標
・アイデアを形にしローンチすること
・より簡単に楽しくInstagramの写真を共有できるサービスを作ること
・バイラルプロモーションをテストすること
■KPI
・ローンチできたか
・ページビュー数
・Twitterでシェアされた数
■目標
・なぜ人がメールを開けるかを検証すること
・そこそこの価値(内容)のメールを送っても開いてもらえるか、サービスを使い続けてくれるかを検証すること
・友人の招待でのマーケティングをテストすること■KPI
・メール開封率
・購読停止率
・招待経由からのユーザー獲得数
■目標
・開発とデザインのスキルがなくても綺麗なページを作れるプラットフォームを作ること
・2分以内にきれいなサイトを立ち上げること
・TwitterやFacebookのみといった、少ないコンテンツでもウェブサイトを立ち上げを可能にすること■KPI
・OneSheet作成数
・完全にカスタマイズされたONESheetの数
・ページ作成中に離脱した数
■目標
・街のレコメンデーションを簡単にシェアできるようにすること
・メールでのリコメンドが置き換え可能か検証すること
・優れたUI/UXの検証すること
■KPI
・全ユーザーでのTipLists作成数
・1つのTipListあたりのtip数
・1 ユーザーあたりのTipListとTips数
3.KPIの可視化
設定したKPIをダッシュボードにて可視化し毎日共有することで、チームメンバー全員がサービスの状況を一目でわかるようにすること。また重要な出来事には、アラートにて共有するようにすること。例えばONESheetでは、有名アーティストが登録した際には、チームメンバー全員にメールが飛ぶような設定していたとのことです。チームメンバー全員が設定したKPIにフォーカスする仕組み作りを行うことが重要とのことです。
4.プロモーション
TechCrunchのように業界内で有名なメディアに掲載されることよりも、ターゲットユーザーが実際に利用するメディアに掲載されることを目標にすること。例えば、Brendenがプロモーションの比較実験をするため、TiplistはTechCrunchのみに、ONESheetはTechCrunchとミュージシャン向けメディアに掲載するようにしたとのことです。その結果、TiplistはTechCrunchに掲載された瞬間、ユーザーが数が一時的に伸び、すぐにトラフィックが激減してしまったが、一方ONESheetは音楽系ブログに掲載されるごとにユーザー数が伸びていったとのこと。想定するユーザーが実際に使用しているメディアに掲載されることが、長期的にユーザーを獲得するキーになるとのです。
また、サイト自体を共有したくなる要素を入れることで、ユーザー自体がシェアを行う仕組みを作ること。例えば、MorningPicsでは、ツイートして友人3人を招待したら、優先的にβ版を使用できるというプロモーションを行い、ユーザーがサービスを共有したくなる要素を入れたことでユーザー数を増やしたとのこと。Brendenは今までローンチしたサービスには必ず、ユーザーがシェアをしやすいように、右上にTweetボタンを設置しているそうです。サービス内に、ユーザー自身がプロモーションを行いやすい仕組みを作ることが重要。
5.フィードバックの収集
ユーザーにシンプルに問いかけることで、フィードバックを吸い上げること。難しいサポートシステムや、追加希望機能一覧や要望への投稿は必要なく、メールにて人間味のあるコミュニケーションを行うことを心がけるべきとのことです。Brenden自身では送信元のアドレスを”名前@ドメイン名”にすることで個人が使用しているパーソナルなメールアドレス感を出し、また文面にわざと”ミススペル”を入れるなどをして、よりパーソナルにメールが送られている感を演出することで、ユーザーからの返信率を高めていたとのこと。
シンプルに『サービスについてどう思うか』を問いかけることで、ユーザーがサービスを通じて何をしているか、何が伸びているのか、どこが上手くいっているのかがわかり、次の機能追加や改善の決定がしやすくなるとのことです。
Elle Luna – デザイン戦略
そして続いて、Elle Luna氏の『スタートアップの際にデザイナーのように考える方法』というテーマにて講演が開始。
デザインとは、『課題を明確にし解決するための手段』とのこと。スタートアップ時には、不確定な要素がとても多いことから、デザイナーのように、課題を明確にし解決することは、新規事業の立ち上げの際に重要なスキルになるとのことです。デザイナーのように考えるためのTipsは以下の通りです。
1.人からはじめること
チームでブレストを行うのではなく、課題のある場所に出向き、実際に人と会い話をし、行動を見聞きすること。例えばモバイルを使った簡単な決済が可能なSquareでは、創業者のジャックドロシーが、クレジットカードでお酒を買うプロセスを観察した結果、合計で14ものステップを踏まなければ決済ができないことを発見したとのこと。ジャックは、この大量に存在するプロセスの1つ1つが本当に必要なものなのかを深く観察することで、Squareというサービスを作り上げたとのことです。
人からはじめる際の重要なポイントは、下記を深く観察することです。
1. 自分が提供するサービスが解く課題は、周囲の人達にとっても確かに存在する課題なのか
2. ユーザーが課題に対して、既存の順序に沿ってステップを踏む理由とモチベーションは何か
3. ユーザーがこの課題にあたっている時に、実際にどのようなステップを踏んでいるのか
2.話すのをやめ、作りだすこと
良いアイディアを思いついたらできるだけ早くモックアップを作成し、それを使ってユーザーとインタラクションすること。例えば、IDEOのクライアントであるジャイラス社のため、鼻の整形手術に必要な製品のデザインを行う際に、Elleは手術に同席をし手術のステップを観察した後、その場にあった洗濯バサミやペンなど在り合わせのものを使用し『理想的な手術器具』プロトタイプの作成を行い、クライアントと形状の確認を行ったとのことです。3Dプリンタ等を使って時間をかけてすばらしいプロトタイプを作るのではなく、汚くても素早くモックアップを作り、その場にいる人とコミュニケーションを取ることが大切とのことです。
作り出す際に重要なことは下記の3点です。
1. プロトタイプを通して何を学びたいか
2. 学びたい事を学ぶための最短ルートは何か、何からはじめるべきか
3. すぐにプロトタイプをつくるためにはまず何をするべきか
3.たくさんのプロトタイプを作成しそのほとんどを捨てる覚悟をすること
常に解決する課題の本質にフォーカスし、不要な機能は切り捨てる覚悟を持つこと。例えばInstagramは、burbnという複雑なコミュニケーションが可能なSNSサービスを改良して作り上げたサービスです。burbnβ版のテストの際に、ユーザーの行動を観察したところ、彼らが本当に行いたかったことは、複雑なコミュニケーションではなく、写真のアップロードであったとこを発見したとのこと。その結果、たくさんの機能を削ぎ落し、6週間という短期間でInstagramを完成することができたとのことです。
常に”何の課題を解決しようとしているか”にフォーカスし、それ以外のことを捨てる覚悟を持つこと。
4.スタートアップをしていない人と可能な限りコミュニケーションをとること
スタートアップ時には、どうしても同業種の起業家とのコミュニケーションが多くなってしまいがちだが、本当にしなくてはならないことは、想定するユーザーに近づき理解すること。例えば、Pinterestでの、ターゲットユーザーはサンフランシスコにいるギークの男性ではなく、お母さんとのこと。お母さんユーザーという、起業家のコミュニティを完全に無視したユーザー層にて、あり得ない成長率を達成しているとのこと。Pinterestユーザーのお母さん達は、主に夕食のインスピレーションや、ハロウィンの仮装のヒント、かわいい猫の写真をピンしているとのことです。
重要な点は以下の3点です。
1. スタートアップ界隈以外の誰と会話しているか
2. 自分の持っているイメージが正確かどうかの検証をしているか
3. 自分の馴染みのない文化にとけ込み、そこからインスピレーションを得ているか
5.ストーリーを温かみのあるものにすること
サービスを利用した際のストーリーを温かみのあるものにすること。人がよいサービスに出会い、それを誰かに説明する時には、機能の説明ではなく、体験したストーリーの話をするものであることから、サービスに人に話したくなるような温かみのあるストーリーを持たせること。
パネルディスカッション – Elle, Brenden, Hiro (Onlab)
そして、Elle, Brenden, Hiro (Onlab)によるパネルディスカッションの様子です。
Open Network Lab第5期説明 – by Hiro
最後にHiro(Onlab)よりOpen Network Lab第5期説明が行われました。
Open Network Labは、世界を目指す起業家育成プログラム「Seed Accelerator」第5期の参加チームの募集しています。募集期間は2012年5月13日(日)の正午までで、第5期プログラムは2012年7月から開始いたします。
今回は延期により、参加が難しくなってしまった方、申し訳ございませんでした。
また急な日程変更にも関わらず、たくさんの方にご来場いただき本当にありがとうございました!
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